カンファレンス・調査報告

【 調査結果 】企業の AI 支出、8 月に伸び鈍化──価格下落と季節要因が重なる

【 調査結果 】企業の AI 支出、8 月に伸び鈍化──価格下落と季節要因が重なる
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企業のAI活用がどこまで広がっているかを測る指標として注目されている Ramp AI インデックスに、興味深いデータが出ました。2026年 8月、米国企業の AI 支出の伸びが大きく鈍化したのです。

同インデックスは 7万社以上の企業カードデータをもとに算出されており、信頼性の高い実態把握ツールとして知られています。8月に AI 製品・サービスへの支出があった企業は調査対象全体の 56% で、7月からの増加幅はわずか 0.4% にとどまりました。

特に目立つのが、支出規模の大きい上位 1% の企業の動向です。この層では従業員 1 人あたりの AI 支出が前月比で約 10% 減り、月額 7,205 ドル(約 108 万円)まで下がりました。要因として挙げられているのが、夏期休暇中のシステム利用減と、AI モデルの利用料金そのものの値下がりです。

実際、AI の利用料金は大きく下がっています。企業が実際に支払う 100 万トークンあたりの平均単価は、2026年 3月の 1.15 ドル(約 173 円)から 8月には 0.68 ドル(約 102 円)へと、わずか数ヶ月で約 41% 下落しました。 OpenAI が主力モデル GPT-5.6 Luna の価格を 80% 引き下げ、 Anthropic も相次いで値下げを発表したことが背景にあります。また、最新の高性能モデルではなく、より安価な旧モデルで業務をまかなう企業も増えており、最新モデルへの支出比率は 8月初頭の 53% から 9月時点で 45% まで下がっています。

この流れをどう読むか。 Ramp のチーフエコノミスト Ara Kharazian 氏は Fortune 誌のインタビューで「バブル崩壊とまでは言えないものの、AIモデル利用料による継続的な増収期待には、少なからぬ陰りが見え始めている」と表現しました。複数の指標が同じタイミングで悪化に向かっており、単なる一時的な揺らぎとは言いにくいというのが同氏の見方です。ただ、昨年も同じ時期に成長が止まり、年末にかけて回復した実績があるため、夏の閑散期という季節的な要因も無視できません。

業界全体への影響という点では、インフラ投資のリスクも浮上しています。 Morgan Stanley は、 CoreWeave などのデータセンター企業が建設資金として発行した最大 3,000 億ドル(約 45 兆円)相当の債券は、AIの利用料金が一定水準を保てなければ返済リスクが高まると警告しています。料金の値下がりを利用量の拡大でカバーできるかどうかが、今後の業界全体の焦点になりそうです。

なお、企業向けのシェア争いでは Anthropic が 43.8% で OpenAI の 39.8% をリードしていますが、直近の Q3 以降は OpenAI の伸びが上回っており、差は縮まりつつあります。