Oracle は 2026 年 9 月 10 日、2027 年度第 1 四半期(2026 年 6 月〜8 月)の決算を発表しました。総売上高は前年同期比 30 %増の 193 億ドル(約 2 兆 8,950 億円)となり、市場予想をわずかに上回る好決算でした。
成長を牽引したのはクラウドインフラ事業です。この部門の売上高は前年同期比 121 %増の 74 億ドル(約 1 兆 1,100 億円)と倍増以上の伸びを示し、9 四半期連続で成長が加速しています。背景にあるのは、AI 向けデータセンターの急ピッチな整備です。CEO の Clay Magouyrk 氏によれば、直近の 3 カ月間だけで 30 万基超の GPU を含む大規模な設備を稼働させており、その規模は前四半期全体の約 3 倍に相当します。稼働中の GPU のうち 97.9 %が実際に顧客に使われており、OpenAI や Meta、xAI といった大手 AI 企業がその主な利用者です。
ただし、この急拡大には相応のコストが伴います。今四半期の設備投資額は 285 億ドル(約 4 兆 2,750 億円)と、前年同期の 3 倍超に膨らみました。年間では 900 〜 950 億ドル(約 13 兆 5,000 億〜14 兆 2,500 億円)規模の投資を見込んでおり、この四半期のフリーキャッシュフローは 54 億ドル(約 8,100 億円)の赤字です。Citi の分析では、今後 3 年間にわたって毎年 200 〜 300 億ドル(約 3 兆〜4 兆 5,000 億円)規模の資金調達が必要になるとも試算されています。
財務的な懸念はすでに格付けに表れています。S&P グローバルは 2026 年 7 月、Oracle の信用格付けを「BBB」から「BBB-」へ一段引き下げました。投資適格の最低水準まであと一歩という状況で、Moody’s も引き下げを示唆する見通しを継続しています。投資適格から外れれば社債の発行等、今後の資金調達のハードルが上がります。
もうひとつの構造的なリスクが、特定顧客への依存です。Oracle が抱える受注残高は 6,640 億ドル(約 99 兆 6,000 億円)に上りますが、Bank of America の試算では、そのうち 50 %超を OpenAI 向けが占めるとされています。OpenAI との関係が変化した場合の影響は小さくありません。
Oracle は今年度通期の売上高として 900 億ドル(約 13 兆 5,000 億円)超、前年比 34 %成長を目標に掲げています。AI 需要という追い風を受けて事業は順調に拡大していますが、財務負担の増大と顧客集中リスクへの対応が、経営の安定に向けた当面の課題といえます。
