OpenAI は 2026 年 5 月 15 日(金)、ChatGPT に個人のお金の管理をサポートする新機能を追加しました。月額 200 ドル(約 3 万円)の Pro プランに加入しているユーザーに限定して、Web と iOS アプリでプレビュー版が先行公開されています。また、現時点では米国限定のサービスとなっています。
銀行口座との連携には、米国の金融データ接続サービス Plaid を採用しています。Chase や Fidelity、American Express、Robinhood をはじめ、1 万 2,000 以上の金融機関に対応しており、口座を接続するだけで支出の内訳・定期購読の管理・今後の支払い予定・資産運用の状況をまとめて確認できるダッシュボードが利用できます。さらに、貯蓄目標や住宅ローンの残高といった個人の事情を「Financial memories(財務メモリ)」として登録しておくと、会話のたびに改めて説明しなくても、長期的な目標を考慮したアドバイスを受けられます。
プライバシー面では、ChatGPT に許可されるのは残高・取引履歴・投資・負債の閲覧のみで、口座番号の取得や送金などの操作は行えません。接続を解除すれば、同期されたデータは 30 日以内にシステムから削除されます。ただし、Citizens Bank の Chris Powell 氏は「銀行と同水準の規制を受けていない企業に財務データを預けるリスクは軽視できない」と指摘しており、この点、ユーザーは利用前に十分な検討が求められます。
技術面では、最新の推論モデル GPT-5.5 が採用されています。同モデルは個人財務に必要な文脈を読んだ推論を得意としており、OpenAI が財務分野の専門家 50 人以上と共同で構築した内部ベンチマーク——実際の家計相談や資産運用に関する質問への回答精度を測るもの——では、100 点満点中 82.5 点を記録しています。
製品開発には、2026 年 4 月に OpenAI が買収したフィンテックスタートアップ「Hiro(個人向けCFOサービス)」のチームも携わっています。Hiro の創業者 Ethan Bloch 氏は、Hiro 以前に立ち上げた AI 自動貯蓄・投資サービス「Digit」をフィンテック企業の Oportun に 2 億ドル以上(約 300 億円以上)で売却した経歴を持つシリアル起業家として有名な人物です。個人向けフィンテックサービスをゼロから育て、大型エグジットを実現した人物が今回の製品開発を主導したという点は、OpenAI がこの分野を本気で攻めようとしている姿勢の表れとも読めます。
この分野では競争が激化しており、Perplexity が 4 月 14 日に同じく Plaid と連携した個人向け金融機能を発表したのに続き、OpenAI は翌月の 15 日に本発表を行っています。毎月 2 億人以上が ChatGPT に財務関連の質問を行っているとされるなか、AI を活用した家計管理ツールの開発競争は一段と加速しています。
