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OpenAI、Apple との提携契約違反を検討――ChatGPT と Siri 統合の現状

OpenAI、Apple との提携契約違反を検討――ChatGPT と Siri 統合の現状
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一昨年 6 月、Apple と OpenAI は提携を正式に発表しました。ChatGPT が Siri や「Visual Intelligence」を通じて iOS に組み込まれるという内容で、当時 Apple のソフトウェア責任者を務めるクレイグ・フェデリギ氏は OpenAI を「AI のパイオニアかつ市場リーダー」と評価していました。両社の間に直接的な金銭のやり取りはなく、Apple が iOS 経由のサブスクリプション収益の一部を受け取る収益分配モデルが採用されました。

それから約 2 年が経過した今、この提携に綻びが生じています。Bloomberg は、OpenAI の弁護士が外部法律事務所と連携して Apple への契約違反通知の送付を検討していると報じました。

OpenAI が不満を抱く最大の理由は収益の伸び悩みです。提携当初、同社は年間数十億ドル規模のサブスクリプション収益を期待していましたが、実態はその水準に遠く及ばないとされています。使い勝手の面でも課題があります。Siri 経由で ChatGPT を呼び出すには「ChatGPT」と明示的に発話する必要があり、一般ユーザーには機能の存在自体が伝わりにくい状況です。OpenAI が実施した調査でも、Apple ユーザーの多くは Siri 経由ではなく、独立した ChatGPT アプリを直接使っていることが示されています。

Apple 側の動きも注目に値します。同社は 2026 年 1 月、Google と年間約 10 億ドル(約 1,500 億円)の契約を締結し、Gemini を次世代 Siri の技術基盤として採用する方針を打ち出しました。また、OpenAI がこれまでに 40 人以上の Apple 出身エンジニアを採用していること、特にデザイナーのジョニー・アイヴ氏が率いるスタートアップ「io」の買収後にその動きが加速していることに対しても、Apple 幹部は強い懸念を示しています。

今後の展開として、2026 年 6 月 8 日の WWDC で発表予定の iOS 27 には「Extensions」と呼ばれる機能が加わり、Google の Gemini や Anthropic の Claude など複数の AI を Siri から呼び出せるようになる見込みです。OpenAI にとっては競合との差別化がさらに難しくなる局面です。

実際の法的措置に踏み切るかどうかは、現在進行中のイーロン・マスクとの訴訟が決着してから判断される見通しです。報道では「最終的な決定はまだ下されておらず、OpenAI は交渉による解決を望んでいる」とされており、今後の協議の行方が注目されます。