Microsoft カンファレンス・調査報告

Microsoft Build 2026 まとめ:エージェント AI 時代へのプラットフォーム転換

Microsoft Build 2026 まとめ:エージェント AI 時代へのプラットフォーム転換
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Microsoft は 2026 年 6 月 2 〜 3 日、サンフランシスコのフォート・メイソン・センターで年次開発者会議「Build 2026」を開催しました。CEO のサティア・ナデラが基調講演に立ち、100 を超える発表が行われています。今回の主なテーマは、自社製 AI モデルの投入・常時稼働型の AI アシスタント・Windows の位置づけの刷新・量子コンピューティングの 4 点です。

最も注目されたのが、自社開発の AI モデル群「MAI」シリーズです。これまで Microsoft は OpenAI のモデルに大きく頼ってきましたが、今回初めて 7 つの独自モデルを本格的に展開します。なかでも推論に特化した「MAI-Thinking-1」は、数学・科学の難関試験である AIME 2025 で 97.0% という高いスコアを記録しています。画像生成モデル「MAI-Image-2.5」はすでに PowerPoint で使えるようになっており、プログラム作成を支援する「MAI-Code-1-Flash」は 2026 年 6 月から GitHub Copilot の全プランで利用できるようになっています。

働き方という観点で興味深いのが、常時稼働型の AI エージェント「Microsoft Scout」です。従来の AI アシスタントと異なり、ユーザーが何かを頼まなくても自動でバックグラウンドに常駐し、メールやカレンダー、チャットの内容を把握しながら会議の準備やスケジュール調整、メールの下書きをこなします。Windows 11 以降と macOS 12 以降で動作し、現在は先行プログラムの参加者向けに試験提供が始まっています。

システム基盤の面では、Windows そのものを AI エージェントが安全に動くための実行基盤として再設計する方針が示されました。新たに導入される「MXC(Microsoft Execution Containers)」は、AI エージェントがアクセスできるファイルやネットワークの範囲を企業のルールに従って自動的に制限する仕組みで、Salesforce や SAP など 16 社が対応を表明しています。

量子コンピューティングでは、新型チップ「Majorana 2」が発表されました。処理の基本単位である量子ビット数は前の世代の 8 個から 12 個に増え、安定して動作できる時間は 20 秒以上(最長で約 1 分)に伸びています。Microsoft は 2029 年までに実用的な量子コンピュータを完成させる目標を掲げており、これは以前の想定より大幅に前倒しした計画です。

Build 2026 の発表を振り返ると、Microsoft が個別ツールの改良よりも、AI エージェントが日常業務を担う環境全体の整備に注力していることが見えてきます。