自動運転タクシーを手がける Waymo と配車大手 Uber が、米アリゾナ州フェニックスで 2023 年から進めてきた共同サービスを 2026 年 5 月に終了しました。両社が米テックメディア TechCrunch に対して認めたもので、Uber アプリ上から Waymo の車両が突然消えたことに気づいたユーザーの声がきっかけで表面化しました。
Uber の広報担当者は「契約期間が満了したことによる自然な終了」と説明しています。フェニックスは Waymo が 2020 年に世界で初めて有償の自動運転タクシーサービスを立ち上げた都市で、今回の提携もあくまで実験的な試みとして設計されていました。実際に専用車両は 12 台強と小規模な運用にとどまり、乗客輸送に加えてフードデリバリーも提供していましたが、デリバリー部門はすでに 2025 年 5 月に先行して終了していました。乗客輸送部門は最終的に累計数十万回の利用実績を残して幕を閉じました。
提携解消後、Waymo はこれらの車両を自社の車両群に組み込み、自社アプリでのサービス提供を継続します。さらに、Uber のライバルにあたる DoorDash との配送契約や、公共交通との連携サービスを手がける Via Transportation への転用も予定しています。一方 Uber は、フェニックスで新たな自動運転パートナーとの交渉を進めていると明かしていますが、具体的な相手先は公表していません。昨秋にアリゾナ州でライドシェアの許可を取得したテスラや、今年中の現地展開を目指してテストを続ける Amazon 傘下の Zoox などが候補として業界内で注目されています。
ただし、Waymo と Uber の関係が完全に終わったわけではありません。テキサス州オースティンとジョージア州アトランタでは今も Uber アプリ経由で Waymo のサービスが利用でき、両都市合計で数百台が稼働中です。今回の終了は、あくまでフェニックスに限ったパイロットプログラムの話です。
この件が浮き彫りにするのは、両社のビジネス戦略における根本的なズレです。Uber はどんな車両でも呼べる「移動のプラットフォーム」を目指しているのに対し、Waymo はユーザーに「Waymo に乗っている」と認識させることを重視し、自社ブランドでの拡大を優先する方向に軸足を移しています。現在 Waymo は全米 11 都市エリアで 4,000 台を展開し、週 50 万回以上の乗車を提供。今年中に 20 都市への拡大を計画しています。Goldman Sachs の試算によれば、世界のロボタクシー市場は 2035 年までに約 4,150 億ドル(約 62 兆 2,500 億円)規模に成長する可能性があり、米国内だけでも 480 億ドル(約 7 兆 2,000 億円)に達するとみられています。
