Tesla の自動運転支援システム「 FSD (Supervised)」が、 2026 年 6 月 9 日にデンマークで正式に承認されました。オランダ、リトアニア、エストニアに続く欧州 4 カ国目の承認で、翌 6 月 10 日にはベルギーも加わっています。わずか 2 ヶ月足らずで 5 カ国が相次いで承認するという、予想を上回るペースで普及が進んでいます。
承認の仕組みを理解するには、 EU の相互承認制度を押さえておく必要があります。 EU 域内ではいずれかの加盟国が型式承認を付与すれば、他の加盟国は独自のテストなしにその承認を採択できます。今回はオランダの認証機関 RDW が 2026 年 4 月 10 日に承認を出したことが起点となり、デンマークを含む各国がそれに続いている形です。ただし、 EU 委員会による統一承認はまだ審査中です。仮に否決されればオランダの認証は 6 ヶ月後に失効し、各国の承認も連動して取り消されるため、現時点では「暫定承認」という位置づけになっています。
興味深いのは、デンマーク当局がもともと慎重派だったことです。凍結路面での挙動や速度制限への対応を理由に懸念を示していましたが、 Tesla が提出した技術文書を精査した結果、「道路安全に寄与するシステム」と判断を覆しました。規制当局が技術的な根拠を確認した上で姿勢を転換したという点で、他国の審査にも影響を与える可能性があります。
利用条件としては、最新世代の Hardware 4 ( HW4 )を搭載した車両のみが対象となります。旧世代の HW3 搭載オーナーは現時点では利用できません。承認と同じタイミングで、欧州向けに最新ソフトウェア「 v14.2.2.6 」の配信も始まりました。価格はまず 30 日間の無料トライアルがあり、その後は月額 €99 が基本となります。すでに Enhanced Autopilot を契約しているオーナーは月額 €49 で利用できます。
先行するオランダでは、 2026 年 4 月 10 日から 6 月 5 日にかけて実際の走行データが蓄積されています。 FSD 使用時の衝突事故は手動運転の約 3 分の 1 以下で、高速道路では 1,660 万 km を走行して衝突事故はゼロでした。数字としてはインパクトがありますが、このデータは Tesla 自身のデータに基づくものであり、第三者機関による独立した検証はまだ行われていません。データの解釈には一定の留保が必要です。
ドイツ、フランス、イタリアなど主要国の審査は続いており、承認の輪はさらに広がる見通しです。 Tesla にとって欧州は販売が苦しい市場で、 2024 年の販売台数は前年比 27.8 %減の 32 万 6,000 台に落ち込んでいます。 FSD の展開は製品競争力の回復という観点からも、同社にとって重要な局面となっています。
