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中国 AI の技術盗用疑惑、米国が制裁の可能性を検討

中国 AI の技術盗用疑惑、米国が制裁の可能性を検討
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米財務長官スコット・ベッセントは 2026 年 7 月 21 日、FOX ビジネス番組「Mornings with Maria」に出演し、中国の AI 企業が米国の AI 技術を無断でコピーしている疑いがあるとして調査に乗り出すと表明しました。窃取が裏付けられれば制裁も辞さない構えで、トランプ政権の対中強硬路線がテクノロジー分野でも鮮明になっています。

ベッセント長官が問題視したのは「蒸留( distillation )」と呼ばれる手法です。これは、既存の高性能 AI モデルの回答を大量に収集し、それを教師データとして自社モデルを鍛え上げる開発技術です。長官は「多くの中国 AI モデルから、米国モデルに埋め込まれたウォーターマーク(透かし)が検出されている」と述べ、事実上の技術盗用だと断じました。

この問題の直接の引き金となったのが、中国の Moonshot AI が 2026 年 7 月 16 日に公開したモデル「 Kimi K3 」です。一部の性能評価で米国の主要モデルに迫りながら、利用料金は出力トークン 100 万件あたり 15 ドル(約 2,250 円)と、 Anthropic の競合モデル Fable 5 の 50 ドル(約 7,500 円)の 3 分の 1 以下という破格の安さが市場で話題を呼びました。

ホワイトハウス科学技術政策局のマイケル・クラツィオス局長は 2026 年 7 月 22 日、 Moonshot AI が Kimi K3 の開発に際し Anthropic のモデルを無断で蒸留したと公式に告発しました。同社は利用規約の監視をかいくぐるために複数のアクセス手段を素早く切り替えられる仕組みを独自に構築していたといいます。 Anthropic も今年 2 月、 Moonshot を含む中国企業グループが偽アカウントを使って延べ 1,600 万件以上の問い合わせを行い、大規模な情報収集を試みたと告発しており、今回の件とも符合します。

一方、業界側からは慎重な見方も出ています。 NVIDIA のジェンスン・フアン CEO は「蒸留は AI 開発の基本的な手法であり、禁止すること自体が問題だ」と反論。 HuggingFace の CEO も「米国企業を含む業界全体が日常的に使っている技術だ」と指摘し、制裁論に疑問を呈しています。

制裁を実際に発動するには、財務省外国資産管理局( OFAC )が新たな法的根拠を整備する必要があり、言論の自由や通商協定との整合性など課題も少なくありません。米中両国は 2026 年 9 月に AI をテーマとした二国間協議を予定しており、今回の動きはチップや半導体の輸出規制に続いて、 AI モデルという「頭脳」そのものが米中技術競争の争点になったことを意味しています。