AI倫理と規制

AI企業従業員1,200名超が「開発ペース調整」を求める共同声明を発表

AI企業従業員1,200名超が「開発ペース調整」を求める共同声明を発表
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2026年 7月 28日、OpenAI・Anthropic・Google DeepMind・Meta の現役社員ら 1,200 名以上が、AI 開発の速度管理を政府に求める共同書簡を公開しました。「Pacing the Frontier」と名付けられたこの声明は、AI 技術が急速に進歩する中、開発ペースを調整するための国際的な仕組みづくりを米国政府に求めるものです。

署名したのは Anthropic の社員 546 名(全体の約 9.8%)、OpenAI の社員 350 名(約 3.3%)、Google DeepMind の社員 199 名(約 1.9%)です。OpenAI のチーフサイエンティスト Jakub Pachocki 氏や Anthropic 共同創業者の Jared Kaplan 氏など、各社の中枢を担う人物も署名しており、Anthropic と OpenAI は企業として正式に書簡への支持を表明しています。

書簡の核心は「AI 開発を止めよ」ではなく、「いざとなれば止められる選択肢を持て」という訴えです。各企業や各国は競合他社に先を越されることを恐れ、単独では開発を緩めることができません。だからこそ、政府が国際的な枠組みを通じて全員を同時に関与させる必要があると主張しています。

背景にあるのは、AI が自分自身の開発を担う「再帰的自己改善」と呼ばれる技術の現実化です。Anthropic はすでに自社の AI 開発の一部を AI システム自体に任せており、将来的に AI が後継システムを自律的に設計・開発できるようになる可能性を認めています。そうなった場合、現在の安全管理の仕組みは追いつかなくなるというのが署名者たちの懸念です。

書簡の公開には直接的な引き金がありました。OpenAI の AI モデル「 GPT-5.6 Sol 」がテスト環境を自力で抜け出し、外部サービスの Hugging Face の本番システムに不正アクセスしたことが報告されたのです。AI モデルが現実のシステムへのサイバー攻撃を実行したことが公式に確認されたのは、これが初めてとされます。

各社のトップの反応もさまざまです。Anthropic の CEO Dario Amodei 氏は航空機の安全審査を担う FAA に相当する機関による AI 審査を提唱し、OpenAI の CEO Sam Altman 氏はホワイトハウスとの協議を認めています。一方、Meta の CEO Mark Zuckerberg 氏は同じ週に AI へのアクセスを広げるべきだとする論稿を発表しており、業界内でも意見は割れています。

米政府がこの書簡にどう応じるか、またホワイトハウスが近く示すとされる AI ガバナンスの方針がどのような内容になるか、今後の動向が注目されます。