OpenAI は 2026 年 4 月 16 日、創薬や遺伝子解析の分野に特化した AI モデル「GPT-Rosalind」を正式に発表しました。名前は、DNA の二重らせん構造の解明に貢献した英国の科学者ロザリンド・フランクリンに由来しています。OpenAI はこのモデルを「新薬候補の発見から実際の治療効果の検証までにかかる時間を短縮するためのツール」と説明しています。
同社はこの発表の 2 日前、 4 月 14 日にはサイバーセキュリティ向けの特化モデル「GPT-5.4-Cyber」も公開しており、汎用モデルから専門領域ごとに最適化されたモデルへという AI 開発のシフトが鮮明になっています。
GPT-Rosalind が実際にできることは幅広く、科学論文の読み解き、実験計画の立案、仮説の生成、そして専門データベースや計算ツールとの連携を一つの画面上でこなせます。開発者向けの Codex には専用プラグインも用意されており、 50 以上の科学ツールやデータソースへの接続が可能です。
性能面でも注目すべき結果が出ています。バイオインフォマティクスの標準ベンチマーク BixBench では、公開済みモデルの中で最高となるパス率 0.751 を記録しました。また、遺伝子治療企業 Dyno Therapeutics との検証では、遺伝子配列の予測タスクで上位 10 件の回答が人間の専門家の上位 5 %を超える水準に達しており、専門家レベルの精度を示しています。
導入パートナーには Amgen、Moderna、Thermo Fisher Scientific といった業界大手が並びます。過去には Ginkgo Bioworks との協業でタンパク質の製造コストを 40 % 削減した実績もあり、実ビジネスへの貢献が数字として示されています。
現時点では米国内の大手企業を対象にした限定的な研究プレビューとして提供されており、一般向けの価格や提供時期はまだ未定です。大企業が優先される現在の体制に対しては、大学の研究者や中小のバイオベンチャーが取り残されるという懸念もあがっています。
製薬業界全体での AI 投資額は 2026 年だけで 25.1 億ドル(約 3,765 億円)、 2034 年には 164.9 億ドル(約 2 兆 4,735 億円)に拡大すると見込まれており、Amazon や NVIDIA なども続々と創薬 AI 市場に参入しています。競争の激化はしばらく続きそうです。
