IDC(国際データコーポレーション)が 2026年9月30日 に発表したレポートによると、2026年 上半期のヒューマノイドロボットの世界出荷台数は約 25,000 台に達し、前年同期比で 4倍以上の伸びを記録しました。売上高も 7億4,000万ドル(約 1,110億円)を超えており、市場が本格的な立ち上がり局面に入ったことを示しています。
メーカー別のシェアでは、上海を拠点とする AGIBOT が 8,600 台超を出荷し、世界市場の約 35% を押さえてトップに立ちました。2位は Unitree の約 5,000 台で、以下は中国メーカーが続きます。米国企業でトップ 10 に入ったのは Figure AI のみで、出荷台数は数十台にとどまっています。中国メーカー全体では世界出荷量の 95% 超を生産しており、中国国内の顧客も世界需要の約 78% を購入するなど、現時点では中国が市場をほぼ独占している状況です。
こうした中国優位の背景には、サプライチェーン上の強みがあります。減速機やサーボモーターといった主要部品のグローバルサプライヤー約 100社 のうち、50社以上が中国に拠点を置いており、コスト面でも調達面でも有利な立場にあります。
価格面では、平均単価が前年同期の約 37,000 ドル(約 556万円)から約 29,600 ドル(約 444万円)へと下がっています。出荷台数の伸び率(432.1%)が売上高の伸び率(322.7%)を大きく上回っていることからも分かるように、今回の成長を牽引しているのは低価格モデルです。市場の拡大と価格競争が同時に進んでいます。
用途別では、研究・教育・展示・政府向けが出荷台数の 69% を占めています。前年の 83.8% からは低下しており、製造・物流・小売などの産業現場への導入が少しずつ広がってきています。
2026年 通年の出荷台数については、調査会社の Smart Analytics Global が約 60,000 台、バンク・オブ・アメリカが 90,000 台と予測しています。市場規模については、米国の市場調査会社 GMI(Global Market Insights)が、2025年の 79億ドル(約 1兆1,850億円)から 2026年には 109億ドル(約 1兆6,350億円)へ拡大し、2035年には 1,927億ドル(約 28兆9,050億円)に達すると見込んでいます(CAGR 37.6%)。
ただし、手放しで楽観視するには注意が必要です。出荷台数という数字は、高機能な産業用ロボットと廉価な入門機を合算したものであり、各社の収益性を示すわけではありません。業界関係者の間では、2026年 を「大量普及の始まり」ではなく「初期商業化への分岐点」と捉える見方が多く、デモや実証実験から脱して、実際の現場で使い続けられる信頼性とコスト効率をどう実現するかが、次の競争軸になりそうです。
