Google / DeepMind 基盤モデル(LLM)

Google、Gemini 3.8 Flash をリリース——コーディング性能を強化した Flash 階層の最新モデル

Google、Gemini 3.8 Flash をリリース——コーディング性能を強化した Flash 階層の最新モデル
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Google は 2026 年 9 月 2 日、AI モデルの新バージョン「Gemini 3.8 Flash」を公開しました。この 6 週間で 3 度目となるアップデートで、プログラミング支援や AI が自律的にタスクをこなすエージェント用途を主な狙いとしています。

Google AI の有料プラン(Pro・Ultra)を契約しているユーザーは、Gemini アプリや Google Sheets からすぐに利用できます。開発者は AI Studio や Gemini API 経由でアクセスが可能です。

今回のモデルは前バージョン 3.7 Flash をベースにした改良版です。より多くの処理ステップを踏むことで回答の精度を高める設計で、一度に扱えるテキスト量は 100 万トークンと大容量です。テキストに加え、画像・音声・動画・PDF も入力として受け付けます。

性能面ではコーディング関連の指標で顕著な改善が見られます。プログラミングの精度を測る Terminal-Bench 2.1 では 90.8% を達成し、前バージョンの 81.6% から約 9 ポイント向上しました。(ただし、このベンチマークでは他のLLMと比べると見劣りします)次に、実務的なコーディング課題を評価する DeepSWE v1.1 では、GPT や Claude といった大手各社のフロンティアモデルのほとんどを上回り、Google 公表のベンチマークでは Anthropic の上位モデルである Claude Opus 5 を 3 つの指標で超えています。一方、幅広い知識・推論力を問う Humanity’s Last Exam は 45.4% と横ばいで、コーディング以外の領域では伸びに限りがあります。

料金は 2026 年 12 月 31 日まで、入力 100 万トークンあたり $0.75(約 113 円)、出力 $3.75(約 563 円)で据え置かれます。2027 年 1 月 1 日以降は入力 $1.50(約 225 円)・出力 $7.50(約 1,125 円)に引き上げられる予定です。競合の GPT-5.6 Sol(入力 $5・出力 $30)や Claude Fable 5.1(入力 $10・出力 $50)と比較すると、コストの差は歴然としています。

あわせて、セキュリティ特化版「Gemini 3.8 Flash Cyber」も発表されました。システムの脆弱性を自動で検出・修正することに特化したモデルで、新設された「Fairwind プログラム」を通じ、あらかじめ Google の審査を通過した防衛・セキュリティ関係者のみに限定公開されています。Google Chrome セキュリティチームの検証では、既存の商用モデルと比べて 2.6 倍多くの正確な修正パッチを生成したと報告されています。

今回のリリースには、Google 社内の変化という背景もあります。2026 年 8 月 5 日には Google DeepMind の CEO Demis Hassabis 氏が退任し、在籍 27 年のベテラン Jeff Dean 氏も離職してスタートアップを立ち上げると発表しました。Gemini の開発遅延や相次ぐ人材流出で信頼が揺らいでいたタイミングだけに、今回のリリースは立て直しに向けた一手とも映ります。業界誌 The Register は「Google がまだ競争に踏みとどまっていることを示した」と評価しており、高性能・低価格の Flash モデルを定期投入する戦略が、当面の Google の基本方針となりそうです。

ただし、最上位の Pro モデルをめぐる状況は楽観できません。Gemini 3.5 Pro は当初 6 月のリリースを予定していましたが数ヶ月単位で遅延しており、次世代の Gemini 4 についても一般提供は 2027 年 5 月になるとの見方が業界では広がっています。市場が期待していた 2026 年末のリリースからは大きくずれており、Flash モデルの健闘とは裏腹に、最前線での競争力という点では競合他社に大きく遅れを取り、課題が残っている状況です。