AI を活用したコーディングツールとして急速に普及している Cursor を開発する Anysphere は、2026 年 8 月 17 日に新サービス「Origin」のアーリーベータ版を有料プランユーザー向けに公開しました。SpaceX が 600 億ドル(約 9 兆円)での買収を発表した 2026 年 6 月 16 日以降、Cursor として初めての大型プロダクトリリースです。
Origin は、これまで複数のツールに分散していたコード管理の作業を Cursor のエディタ内に集約することを目指しています。具体的には、コードの保管・バージョン管理・変更内容のレビューといった開発の基本的な作業を一画面で完結できるようにするものです。AI によるコードレビュー機能「Ask Cursor」も搭載されており、Vercel・Depot・Buildkite などの開発インフラとも連携できます。
このサービスを支えているのが、Cursor が 2025 年 12 月に買収したスタートアップ Graphite のチームです。Graphite はもともと、大規模なコード変更を小さな単位に分割して効率よく進める手法を得意としており、その知見が Origin の設計に活かされています。Graphite 共同創業者の Tomas Reimers が現在も開発を率いています。
Origin が登場した背景には、AI の普及による開発現場の構造変化があります。Cursor 内でマージされたコード変更の 35% はすでに AI エージェントが作成したものです。AI が次々と変更を提案するようになった結果、人間のエンジニアがそれをレビューする速度が追いつかなくなってきており、開発のボトルネックは「コードを書くこと」から「確認して承認すること」へと移りつつあります。Cursor はこの課題に対応するため、AI 時代に合わせた新しい開発基盤の構築に踏み切りました。
GitHub からの乗り換えを強いる仕組みではなく、既存の GitHub と並行して使えるのも特徴です。GitHub のリポジトリを接続したうえで Origin 上でコードレビューを行い、変更内容は両者の間で自動的に同期されます。現行の業務フローを大きく変えることなく、段階的に移行できる設計です。
このローンチが特に注目を集めたのは、公開当日の朝に GitHub が 6 時間 42 分にわたる大規模な障害を起こしたためです。15 日間で 7 回目となるこの障害では、コードのアップロードやレビュー機能、AI ツールの GitHub Copilot まで影響を受けました。Cursor の社員が SNS でこの状況を皮肉るコメントを投稿したことも話題となりました。開発者向けツール HashiCorp の共同創業者 Mitchell Hashimoto も自身のブログで GitHub からの移行を宣言するなど、GitHub の安定性に対する懸念は開発者コミュニティ全体に広がっています。
