2026年11月3日の米国中間選挙で、データセンターの建設をめぐる住民投票が全米10州41地区で実施されました。結果は41件中40件で開発を制限・禁止する側が勝利し、地域住民のデータセンターに対する強い拒否感が改めて浮き彫りになりました。
反対の勢いは数字にも表れています。結果が確認された38件のうち28件で、制限賛成の得票率が70%を超えました。カリフォルニア州アルハンブラでは82.4%、オハイオ州グランビルでは82.5%という高い賛成率でデータセンターの新規建設を禁止する条例が可決されています。オハイオ州サンベリーでは25メガワット超の施設を対象とした禁止案が79%の賛成で通過し、Amazon が計画していた20億ドル(約3,000億円)規模のキャンパス構想にも影響が及びかねない状況です。唯一の例外はノースダコタ州ハーウッドで、開発への追加審査を求める案が否決されました。
今回の選挙では、データセンター問題が政治の争点としても無視できない存在感を示しました。NBC の出口調査では、56%の有権者が「AI やデータセンターの問題が投票先を決める際の重要な要因だった」と答えています。両党がデータセンター反対を訴える広告に投じた費用は合計1億7,300万ドル(約259億円)を超え、民主党が1億4,000万ドル(約2,100億円)、共和党が2,800万ドル(約420億円)を支出しました。住民感情を示すデータとして、Reuters とイプソスが6月に実施した調査では、自分の地域へのデータセンター建設を歓迎するとした米国民はわずか14%にとどまっています。
業界が受けるダメージはすでに相当な規模に達しています。調査会社 Data Center Watch によれば、2026年第2四半期の時点で880億ドル(約13兆2,000億円)相当・45件のプロジェクトが住民の反対によって頓挫していました。こうした流れを受け、OpenAI は選挙から2日後の2026年11月5日に「National Community Compact」と「Compute Campus Policy Blueprint」を発表し、地域への情報公開や電力コストの分担、秘密保持契約の廃止などを約束しました。施設の呼び名を「データセンター」から「AI コンピュートキャンパス」へ変更するリブランディングも検討されていると伝えられています。
住民が反対する背景には、電気料金の値上がりや土地利用の変化、騒音・環境への影響といった日常生活に直結する懸念があります。AI インフラの整備を急ぐ業界にとって、地域社会との信頼構築は今後の事業展開を左右する重要な課題となっています。
