イスラエル発のビジネス管理ツール企業 Monday.com が、2026年7月に全従業員の約 20% にあたる約 630 名の削減を発表しました。削減対象のうち約 350 名はテルアビブ本社の社員で、残りは世界各地のオフィスに勤務しています。今回の再編にかかるコストは 4,500 万〜5,500 万ドル(約 67 億〜82 億円)と見込まれており、創業 14 年で最大規模の組織変更となりました。
共同 CEO の Roy Mann 氏と Eran Zinman 氏は従業員への書簡で「創業以来、最も苦しい決断」と率直に述べています。Zinman 氏は LinkedIn の投稿でも「人員削減の目的はコスト削減でも、人をAI に置き換えることでもない」と明言し、約 1 年前に打ち出した AI ファースト戦略への本格移行が狙いだと説明しました。同社はこの発表と同時に、2026 年通期の非 GAAP 営業利益率の見通しを 13% から 15% へ引き上げており、売上成長率も 19〜20% を維持する見込みです。
こうした人員削減はテック業界全体に広がっています。2026年7月27日時点で、業界内では 322 件の人員削減が発生し、合計 205,832 人が職を失いました。Oracle は 2026年6月22日時点の直近 12 カ月間で 21,000 人を削減。Meta は 2026年5月20〜21日に約 8,000 人を削減する一方、約 7,000 人は AI 関連の職種に配置転換しています。PayPal も 2026年5月5日に、今後 2〜3 年をかけて 4,500 人超を段階的に削減すると発表しました。
もっとも、企業が削減の理由として AI を持ち出すことへの疑問も広がっています。OpenAI の Sam Altman CEO は 2026年2月、「リストラを行う企業のほぼすべてが AI を理由に挙げているが、それが本当の原因かどうかはわからない」と述べ、こうした説明を「AI ウォッシング」と表現しました。採用担当者を対象にした調査でも、AI が実際に特定の役職を置き換えたと答えた割合は 9% にとどまっています。約 60% は「財務的な事情を理由にするよりも、AI を理由にした方が社内外で受け入れられやすい」と正直に回答しており、説明と実態のずれが浮き彫りになっています。
一方、AI 分野での採用需要は旺盛です。Anthropic や OpenAI などの AI 企業は 2026 年上半期だけで合計 6,200 人を採用し、サンフランシスコでは AI エンジニアの平均年収が 32 万ドル(約 4,800 万円)を超えています。同じ業界の中で、雇用が失われる職種と急成長する職種が明確に分かれる構図は、今後さらに続きそうです。
