Pew Research Center は、2026 年 2 月 17 日から 23 日にかけて、米国成人 5,119 人を対象に AI の利用実態と意識に関する調査を実施しました。一般の人を対象にした調査であるため、ビジネスの現場だけでは見えにくい、AI のリアルな普及状況が浮かび上がっています。
調査によると、米国成人の約 49% が AI チャットボットを利用していると回答しました。2024 年調査の約 33% から大きく伸びており、AI が一般層にも急速に広がっていることがわかります。
サービス別では、ChatGPT が最も広く使われており、米国成人の 44% が利用しています。これは 2023 年比で 2 倍以上の水準です。これに続くのが Google Gemini で、利用率は 24%。ただし、Google の圧倒的な配信力を考えると、やや伸び悩んでいる印象もあります。一方、連日のようにニュースで取り上げられる Claude の利用率はわずか 6% にとどまり、話題性に比べると、一般のアメリカ人にはまだほとんど浸透していないことがわかりました。現時点では、ChatGPT と Gemini の 2 強が一般層の AI 利用を牽引している構図が鮮明です。
利用目的では、情報検索が 42% と最も多く、次いでエンターテインメントが 25%、画像・動画の作成・編集が 24% となっています。また、医療アドバイスやダイエット・フィットネス情報の取得にも、それぞれ 20% が利用していると答えており、AI が検索エンジンの代替手段として定着しつつある様子がうかがえます。米国成人の 6 割が AI 検索のサマリー機能を使っているというデータも、この傾向を裏付けています。
ただし、今回の調査で最も重要なのは、利用が広がっているからといって、AI への信頼や期待が高まっているわけではないという点です。米国成人の半数が、AI の普及について「期待よりも不安の方が大きい」と回答しています。この割合は 2021 年の 37% から、約 4 年で 13 ポイント上昇しました。一方で、「期待の方が大きい」と答えた人はわずか 10% にとどまっています。さらに、今後 20 年間の社会への影響をポジティブに見る人も 16% にすぎません。
特に注目すべきなのは、若年層の意識です。30 歳未満は AI チャットボットを最も多く利用している層であるにもかかわらず、AI の社会的影響については最も懐疑的な見方を示しています。同世代の約半数が、AI は社会にマイナスの影響を与えると回答しており、プラスに働くと見ている人は 14% にすぎません。よく使っているからこそ、AI の課題や限界を実感しているとも言える結果です。
規制への不信感も深刻です。67% が「政府による AI 規制を信頼しない」と回答しました。また、AI 開発企業への不信感も高く、民主党支持者では 65%、共和党支持者では 53% に上っています。さらに、この問題をめぐっては、2 年前には見られなかった党派差も生じています。
Pew Research Center の副調査部長 Jeffrey Gottfried 氏は、「AI は今ここにある現実だが、人々は日々利用しながらも、その社会的影響については強い懐疑心を抱いている」と述べています。
AI の利用率は急速に高まっている一方で、社会への影響に対する楽観度はむしろ低下している。この相反する動きこそが、現在の米国社会における AI との向き合い方を端的に示していると言えます。
