中国向けの Tesla Model 3 と Model Y のオーナーズマニュアルが更新され、最新の自動運転支援ソフトウェア FSD v14 が中国市場に投入される準備が進んでいることが分かりました。中国では「 Tesla Assisted Driving 」という名称での提供が予定されています。
名称変更の背景には、中国当局の規制強化があります。 2025 年 4 月、中国工業情報化部( MIIT )が「自動運転」「完全自動運転」といった表現を禁止し、自動車メーカーに対して誇大な広告を控えるよう求めました。 Tesla はこれに対応し、従来のブランド名を「 Intelligent Assisted Driving (智能辅助驾驶)」に改め、車載システム上での FSD という表記も撤廃しています。こうした名称の使い分けは今回が初めてではなく、過去にも中国初投入時に「都市道路オートパイロット支援」という独自の名称を用いた経緯があります。
技術的には、 FSD v14 は現在中国で提供されている v13 から大きく進化しています。 10 億パラメータのモデルを搭載し、最新バージョン v14.3.2 では自動運転、自動駐車、ロボタクシー向けの制御システムが一つのプラットフォームに統合されました。走行スタイルを選べる速度プロファイル機能も新たに加わり、おとなしい「 Sloth 」から積極的な「 Mad Max 」まで 4 段階から選択できます。 AI の判断速度は従来比で 20 % 向上しており、小型の障害物や動物の検知精度も高まっています。
一方で、中国当局による正式承認はいまだ得られていません。イーロン・マスク CEO は 2026 年 4 月の決算説明会で、中国での完全承認を「 2026 年第 3 四半期」に見込んでいると述べました。 Tesla はデータ規制への対応策として 2026 年初頭に中国国内へ AI トレーニングセンターを設置しており、現地の走行データを使ったモデル改善が可能になっています。
販売面でも課題は山積しています。中国乗用車協会( CPCA )によると、 Tesla の 2026 年 4 月の中国での小売販売台数は前年同月比約 10 % 減の 2 万 5,956 台にとどまりました。上位グレードの価格は約 6 万 4,000 人民元(約 9,000 ドル、約 135 万円)と、同等の運転支援機能を無料または低価格で提供する BYD 、 Xpeng 、 Xiaomi といった国内メーカーと比べると割高です。
オーナーズマニュアルへの記載はすでに完了しており、中国のテスターが数週間以内に FSD v14 の新機能を試せるようになると見られています。正式展開が実現すれば、中国の複雑な都市交通への対応力を示す重要な試金石となりそうです。
