テスラが11月末にリリースした自動運転システム「Full Self-Driving (FSD)」のバージョン13.2が、アーリーアクセステスターを中心に順次利用者に提供されています。すでにアップデートを行ったユーザーがYouTubeに走行動画を多数アップしており、その評判は上々のようです。
FSD 12.5からすでに高評価を得ていたテスラの自動運転ですが、13.2ではさらに進化を遂げています。「高級ハイヤーの運転手のような運転」と表現するユーザーもおり、自然でスムーズな走行が実現されているようです。人間の運転が上手い人の運転に近づいているとの声も聞かれます。
新バージョンでは、駐車状態からFSDをオンにしてバックすることが可能になり、一般道から高速道路への切り替えもよりスムーズになったとのこと。また、最後には駐車場の空きスポットを見つけて駐車するまでのエンドツーエンドの自動運転が実現されています。
さらに、今までのバージョンでは、制限速度を厳守することで、自然な車の流れを止めてしまうことがありましたが、新しいバージョンでは「Hurry mode」を選択できるようになり、多少の制限速度オーバーを許容し、自然な車の流れを維持できるようになったことも好評を博しています。
一方で、駐車の失敗やイレギュラーな道路状況での不自然な挙動など、若干の問題は残っているいるようで、完璧とまでは言えないようです。
テスラは現在、すでに販売した約400万台の車から収集した走行データを元に、テキサス州のギガファクトリーの一部を使ってFSDモデルのトレーニングを行っています。ギガファクトリーは現在も建設中で、まだまだ能力は増強されていきます。新施設の稼働開始から半年強でこの性能向上を実現したことを考えても、今後はさらに早いペースで進化を遂げていくものと思われます。
公道を走る車からデータを収集するプラットフォーム、およびその膨大なデータをAIのトレーニングに生かす巨大な施設。すでに既存の自動車メーカーとは全く異なるレベルの自動運転技術を実現していますが、今後も既存メーカーが追いつけるとは思えません。自動運転に関して、少なくとも10年くらい先に行ってしまった、と言えるのではないでしょうか。
加えて、次期米国大統領に決定したトランプ氏とイーロン・マスク氏の関係から、自動運転の規制緩和の恩恵を受けられる可能性もあり、アメリカでは、来年から始まるトランプ政権の4年間に、テスラによる運転手不要の自動運転が実現しそうです。