スウェーデンの決済サービス企業Klarnaが、OpenAIの技術を活用したAIチャットボットの導入により、従業員数を約5,000人から3,800人に削減したことが明らかになりました。
Klarnaは、2005年にスウェーデンで設立された金融テクノロジー企業で、主にEコマース向けの決済サービスを提供しています。「Buy Now, Pay Later(今買って、後で支払う)」というビジネスモデルで知られ、後払い決済や分割払いのオプションなどを提供しています。現在、14カ国以上で事業を展開しており、約1億5,000万人のアクティブユーザーを抱えています。また、2024年には米国市場でのIPO(新規株式公開)を計画しています。
KlarnaのAIアシスタントは導入からわずか1ヶ月で230万件の会話を処理し、同社のカスタマーサポート(チャット)の約3分の2を占めるまでに成長しました。顧客満足度も人間のオペレーターと同等のレベルを維持しており、問題解決の正確性が向上したことで再問い合わせが25%減少し、問題解決時間も従来の11分から2分未満に短縮されました。
このAIアシスタントの導入により、約700人分のフルタイムスタッフの仕事がAIに置き換えられました。CEOのSebastian Siemiatkowski氏は、将来的に従業員数が2,000人程度まで減少する可能性があると述べています。ただし、これは積極的な解雇ではなく、新規雇用を抑えることで自然に減少していくものであり、エンジニアの採用は今後も継続するとしています。
AIの導入はKlarnaの財務状況にも好影響を与えています。2024年にはAIアシスタントによる約4,000万ドルの利益改善が見込まれています。2023年上半期の収益は前年同期比で27%増の133億スウェーデンクローナ、調整後利益は6億7,300万クローナを記録しました。また、過去12ヶ月で従業員一人当たりの平均収益も73%増加しました。
今後、AIを積極的に活用する企業とそうでない企業との差はますます広がっていくでしょう。