OpenAI、サイバーセキュリティ特化モデル「GPT-5.4-Cyber」を公開 ― Anthropic「Mythos」と異なるアクセス方針

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OpenAI は 2026 年 4 月 14 日、サイバーセキュリティの現場での利用を想定した AI モデル「GPT-5.4-Cyber」を正式に発表しました。既存モデルの GPT-5.4 をベースに、セキュリティ業務向けに調整されており、ソースコードがない状態でもマルウェアの検出や脆弱性の分析ができる点が特徴です。通常のモデルでは制限されるような高度な操作も、正規のセキュリティ業務であれば実行できるよう設計されています。

利用にあたっては、OpenAI が 2026 年 2 月に立ち上げた「Trusted Access for Cyber(TAC)」プログラムへの登録が必要です。今回のアップデートで対象は数千名規模に拡大し、個人は chatgpt.com/cyber から本人確認を経て申請できます。企業の場合は OpenAI の担当者を通じてチームでの利用申請が可能です。米政府機関との連携については現時点では未対応ですが、協議が続いています。

これと対照的な動きを見せているのが Anthropic です。同社が同時期に発表した「Mythos」は、Apple・Google・Microsoft・AWS・Cisco・CrowdStrike・JPMorganChase など 11 組織のみに提供を絞り込んでいます。その性能は際立っており、脆弱性を発見した際に初回の試行だけで攻撃手順の実証まで完了できた割合は 83.1 % に上ります。英国の AI 安全機関による評価でも、従来のモデルには困難だった専門家レベルの課題を 73 % の確率でクリアしています。

両社の姿勢の違いは、強力な AI をどう社会に届けるかという考え方の違いに根ざしています。Anthropic は厳選した組織に高精度のモデルを提供する方針を取る一方、OpenAI は認証の仕組みを設けたうえで、より多くのセキュリティ担当者が使えるようにすることを優先しています。OpenAI のサイバー研究員フアード・マティン氏は「強力なツールを一部の大企業だけに限定すれば、病院や自治体、中小のセキュリティチームが守られなくなる」と述べており、裾野を広げることへの強い意識が伝わります。

資金面での支援も両社ともに積極的です。OpenAI はサイバーセキュリティの助成プログラムに 1,000 万ドル(約 15 億円)を投じ、1,000 以上のオープンソースプロジェクトへ無料のセキュリティスキャンを提供しています。Anthropic も「Project Glasswing」の枠組みで最大 1 億ドル(約 150 億円)相当のクレジットを用意するほか、オープンソースのセキュリティ団体に 400 万ドル(約 6 億円)を直接寄付しています。

サイバーセキュリティの現場に AI が本格的に入り込みつつある今、その恩恵をどこまで広く届けるかが、業界全体で問われ始めています。