OpenAI は 2026 年 4 月 22 日、米国の認定医療従事者を対象とした「 ChatGPT for Clinicians 」を発表しました。医師や看護師、薬剤師といった有資格者であれば無料で利用でき、院内に AI ツールが整っていない個人開業医などを主なターゲットとしています。
機能面では、医学文献の検索や診療記録の作成支援、継続的な医師教育( CME )の単位取得などを盛り込んでいます。個人情報保護の観点から、医療に関するやりとりは AI モデルの学習には使われない仕組みになっており、病院や診療所など組織規模での導入には既存の「 ChatGPT for Healthcare 」が対応します。
発表と合わせて、 OpenAI は医療 AI の性能を測るオープンベンチマーク「 HealthBench Professional 」も公開しました。このベンチマークでは、同社の最新モデル GPT-5.4 がスコア 59.0 を記録し、人間の医師の平均スコア 43.7 を上回りました。診療相談・文書作成・医学調査の 3 つの評価軸すべてで人間を統計的に有意に超えており、 Anthropic や Google 、 xAI の競合モデルと比べても最上位の結果となっています。
安全性への取り組みとしては、リリース前に医師アドバイザーが 70 万件以上の応答をレビューし、検証した会話の 99.6% が「安全かつ正確」と評価されたといいます。ただし、あくまでも医師の判断を補助するツールであり、診断そのものを行うものではない点は強調されています。
とはいえ、冷静に見ておくべき点もあります。 HealthBench Professional は実際の患者データではなく、あくまでも人工的に作成した会話をもとに評価しています。評価基準と製品を同じ企業が開発しているという構造上の問題も、外部から指摘されています。さらに患者安全の専門機関である ECRI は、こうした AI チャットボットの不適切な利用を 2026 年の医療分野における最大のリスクと位置づけており、 OpenAI を含む主要各社の医療 AI はいずれも医療機器としての正式な承認を受けていません。
市場全体を見ると、米国医師会の調査では、何らかの形で AI を診療に活用する医師の割合は前年の 48% から 72% へ急増しており、医療 AI への関心は高まる一方です。すでに月間 1,500 万件規模の相談をこなす競合サービスも存在する中、今後 12 〜 18 か月以内には Anthropic や Google からも同様の製品が登場する見通しで、医療 AI 市場の競争は本格化しつつあります。
