2026年4月27日、Microsoft と OpenAI は両社の提携契約を大幅に見直すと発表しました。Microsoft が OpenAI に初めて 10 億ドル(約 1,500 億円)を出資した 2019 年以降、最も大きな契約の組み替えとなります。
今回の改定で最も注目すべき点は、Microsoft が独占的に持っていた OpenAI の技術ライセンスが解除されたことです。これまで OpenAI のモデルを独占的に扱えたのは Microsoft のクラウドだけでしたが、今後は AWS や Google Cloud、Oracle Cloud といったクラウド各社も OpenAI のサービスを直接企業顧客に提供できるようになります。Microsoft は 2032 年まで OpenAI の AI モデルに関するライセンスを保持し続けますが、特別扱いの地位は失われます。
収益の分配ルールも変わります。旧契約では、Microsoft は OpenAI の技術を独占的に利用する対価として、Azure クラウドサービスなどの自社事業で得た収益の一部を OpenAI に還元する仕組みになっていました。今回の改定でこの支払いはなくなります。一方、OpenAI から Microsoft への収益分配は継続されます。たとえば ChatGPT のサブスクリプション収入の 20 %相当が 2030 年まで引き続き Microsoft に入る仕組みは維持されます。旧契約に盛り込まれていた AGI の達成を判定する特殊な条項も今回で削除され、契約関係がシンプルになりました。
こうした再編の背景には、競合他社の動きがあります。2026年2月に Amazon が OpenAI に最大 500 億ドル(約 7 兆 5,000 億円)を投資する大型提携を結んだことで、Microsoft との独占関係に綻びが生じ始めていました。Financial Times は先月、この Amazon との提携が既存の独占条項に抵触するとして、Microsoft が法的措置を検討していると報じていました。
発表当日の株式市場では、Microsoft が一時 1.3 %下落したものの終値はほぼ横ばいで落ち着きました。一方、競合の Alphabet(Google)は 2.3 %上昇しており、今回の独占解除が競合各社にとって追い風と受け取られた格好です。
アナリストの見方は総じてポジティブです。Barclays のアナリストは「Microsoft はすべての OpenAI のデータセンター整備を担う必要がなくなるため、Copilot や Azure への投資に集中できる」と分析しています。今回の契約見直しは OpenAI が将来的な株式公開(IPO)を見据えた布石との見方も強く、両社の関係は資本・技術面での対等な協力関係へと徐々に移行しているといえそうです。
