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Google と SpaceX、軌道上データセンターの構築に向けて交渉中

Google と SpaceX、軌道上データセンターの構築に向けて交渉中
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Wall Street Journal が 2026 年 5 月 12 日に報じたところによると、 Google と SpaceX が宇宙空間に AI データセンターを建設するためのロケット打ち上げ契約について交渉を進めていることが明らかになりました。ただし協議はまだ初期段階にあり、 Google は Blue Origin や Rocket Lab といった他のロケット企業とも同様の話し合いを並行して行っています。

Google がこの構想を「 Project Suncatcher 」と名づけ、 CEO のサンダー・ピチャイ氏が 2025 年末に正式に発表しました。計画の具体的な内容としては、衛星メーカーの Planet Labs と組み、 Google が独自開発した AI 処理チップ「 TPU 」を搭載した試験衛星を 2 機、 2027 年初頭に打ち上げます。まずは宇宙環境における熱の管理や機器の耐久性を確かめる段階で、これが順調に進めば、最終的には 81 機の衛星をレーザー通信でつないだネットワークを構築し、 AI の処理を宇宙空間に分散させることを目指しています。

SpaceX にとっても、軌道上データセンターはイーロン・マスク氏が次世代の主力事業と見なす重要な柱です。同社は将来的に最大 100 万機の衛星を運用するための規制当局への申請を済ませており、現在展開中の通信衛星網「 Starlink 」を大幅に超える規模を描いています。 2026 年 6 月に予定する株式公開( IPO )では 1.75 兆ドル(約 2,625 兆円)の企業価値を目指しており、宇宙 AI インフラはその投資家向けの説明において中心的な位置を占めています。

両社の関係は今に始まったことではなく、 Google の親会社 Alphabet はすでに SpaceX の株式 6.1% を保有しています。 Google の幹部であるドン・ハリソン氏が SpaceX の取締役を兼務しているなど、財務・経営の両面で強い結びつきがあります。

一方で、実現に向けた課題も少なくありません。現時点でのロケット打ち上げコストは 1 kg あたり 1,500 〜 2,900 ドル(約 22 万〜 43 万円)ですが、 Google の試算によれば採算が取れるラインは約 200 ドル(約 3 万円)/ kg とされています。この水準に達するのは早くとも 2035 年と見られており、それまでは軌道上のデータセンターは地上型に比べて約 3 倍のコストがかかる計算になります。宇宙放射線への対策、真空中での冷却、地上とのデータ通信における遅延といった技術的な問題も残っており、 SpaceX 自身も IPO に向けた申請書類の中で「事業の商業化が実現しない可能性がある」と明記しています。

こうした難しさはありつつも、地上のデータセンターが抱える問題も深刻さを増しています。 2024 年には世界全体で約 415 TWh の電力をデータセンターが消費しており、 2030 年には約 945 TWh まで増加する見通しです。電力不足や用地確保の難しさが現実の壁となりつつあるなか、宇宙を AI 処理の新たな場所として活用するという発想は、SF の域を超えて現実の選択肢として議論されるようになっています。