Google の共同創業者セルゲイ・ブリンが、AI によるプログラム作成能力の強化を目的とした専任チームを自ら率いていることが明らかになりました。これは米メディア The Information が 2026 年 4 月 20 日、直接の事情を知る 3 名の関係者への取材をもとに報じたものです。
専任チームのリーダーを務めるのは、Google DeepMind で AI モデルの基礎的な学習プロセスを統括してきたリサーチエンジニア、セバスチャン・ボルゴーです。また、DeepMind の最高技術責任者(CTO)コレイ・カブクオールもブリンとともに直接関与しています。
この動きの背景にあるのは、競合する Anthropic の AI「Claude」に対する強い危機感です。実は Google DeepMind の研究者たちが、社内の作業ツールとして自社の Gemini ではなく Claude を日常的に使っていたことが発覚し、問題視されました。ある Google のエンジニアは、自分たちのチームが 1 年かけても完成できなかった複雑なシステムを、Anthropic の開発ツール「Claude Code」が 3 回ほどの指示だけで 1 時間以内に完成させた、と公の場で明かしています。
両社の間には、AI の業務活用度合いにも目に見える差があります。Google の AI が社内のコード全体の約 50 % を自動で書き出しているのに対し、Anthropic はほぼすべての開発作業に AI を活用していると主張しています。Google は検索を始め、 Gmail、YouTube といった多数のサービスを長年自社開発してきた結果、社内に蓄積されたコードは 20 億行を超えます。この膨大な独自コードを AI の学習に使える強みがありながら、Anthropic に差をつけられていることをブリンは深刻に受け止めています。
ブリンは社内向けのメモの中で、「競争に勝ち切るには、AI が人間に代わってソフトウェア開発を担える状態を一刻も早く実現しなければならない」と記しています。すべての Gemini 担当エンジニアに対して、複数の工程にまたがる複雑な作業では社内 AI ツールの使用を義務づけており、社内で「Jetski」と呼ばれる開発ツールの利用状況をチームごとに集計して順位をつける取り組みも進めています。
このチームが目指す最終的なゴールは、AI が自分自身をより賢く改善(自己改善)していける状態の実現です。ブリンは、プログラム作成能力の向上こそが次世代の「AI を生み出す AI」への最短ルートだと社内に説明しています。
Google は 2026 年 5 月 19 〜 20 日に年次開発者イベント「Google I/O」の開催を予定しており、Claude Code や OpenAI の競合ツール「Codex」に対抗するプロジェクト「Antigravity」の最新情報など、コーディング AI 関連の発表が注目を集めています。ただし、開発者の間ではすでに Claude Code や Codex への信頼が根付いており、一度離れたユーザーを呼び戻すのは容易ではないとの指摘もあります。
