半導体・データセンター 資金調達

AI 関連の債権発行が 2026 年内に 5,000 億ドル規模に拡大、信用市場で選別の動き

AI 関連の債権発行が 2026 年内に 5,000 億ドル規模に拡大、信用市場で選別の動き
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Goldman Sachs Research の推計によれば、 2026 年 8 月初旬までにすでに発行された AI 関連債務が約 5,000 億ドル(約 75 兆円)に迫る勢いです。米ドル建ての優良社債市場では、すでに発行額全体の 24% を AI 関連企業が占めており、Goldman Sachs は 2026 年通年の発行総額予測を 2.1 兆ドル(約 315 兆円)から 2.3 兆ドル(約 345 兆円)へ引き上げました。

注目すべきは、この資金調達ブームが一部の大手企業だけの話ではない点です。 Microsoft や Google、Amazon といった巨大クラウド企業(ハイパースケーラー)の発行分は全体の約 40% にとどまり、残りの 60% はその他データセンター、電力会社、半導体メーカーなど周辺産業全体から来ています。

この流れを象徴する動きとして、 Amazon は 2026 年 9 月 8 日、初めて英ポンド建ての社債発行に向けて主幹事銀行を選定したことが確認されました。今回発行される社債の満期は 3 年・ 6 年・ 12 年・ 19 年の 4 種類で、 2026 年内にはすでにユーロ、スイスフラン、カナダドルでも資金を調達しています。 Bloomberg の集計では、今回のポンド債を除いても累計発行額は 920 億ドル(約 13.8 兆円)超に達しており、主要ハイパースケーラーの中で最大の借り手となっています。 2026 年の設備投資計画も 2,200 億ドル(約 33 兆円)に引き上げられており、 CEO のアンディ・ジャシー氏はその大部分は AWS および AI インフラへの投資と説明しています。Amazon のフリーキャッシュフローは設備投資急増で圧迫され、直近 12 ヶ月では一時マイナスに転じたと報道されています。営業キャッシュフローだけでは設備投資を十分に賄えなくなり、外部資金の活用を急速に拡大しています。

ただ、ここにきて市場の空気が変わり始めています。年初には大型のAI関連債も比較的順調に消化されていましたが、6 ~ 7 月に Nvidia、SpaceX、Amazon による合計約 750 億ドル(約 11.25 兆円)の発行が相次ぐと、市場に消化不良の兆候が現れました。なかでもAmazonが 7 月に単独で発行した 250 億ドル(約 3.75 兆円)の社債は、注文額こそ発行額を上回ったものの、需要倍率が 3 月の約 3.4 倍から約 1.6 倍へ低下しました。発行後の流通市場でも価格が伸び悩んでおり、投資家が大型の AI 関連債を無条件に受け入れる局面ではなくなりつつあります。実際、データセンター企業の Prime Data Centers LLC は予定していた社債の発行を先送りしており、投資家がより慎重になっていることを示しています。

見落としがちなリスクもあります。ハイパースケーラー各社がデータセンターやオフィスなどを借りる際に結んだリース契約の債務総額は 1.5 兆ドル(約 225 兆円)に上ると Goldman Sachs は推計しています。問題はその中身で、約 1 兆ドル(約 150 兆円)分はまだ契約が始まっていない「将来の支払い予約」であり、現時点では財務諸表に計上されていません。つまり、決算書の数字だけを見ていると実際の借金の規模を大幅に過小評価してしまう恐れがあります。企業再建に強い経営コンサルティング会社 AlixPartners のアンドレイ・ダニス氏は「市場関係者の 3 分の 2 が、今後 18 ヶ月以内に AI 業界で信用不安が起きると見ている。問題は需要ではなく、利益率だ」と述べています。 AI インフラへの資金調達は今後、「テナント契約が取れているか」「電力を確保できているか」「誰が借金を保証するか」によって条件が大きく変わる、より厳しい選別の時代に入りつつあります。