中国の動画プラットフォーム大手 Kuaishou (快手)が手がける AI 動画生成サービス「 Kling AI 」が、 2026 年 7 月 2 日に大型の資金調達完了を発表しました。香港証券取引所への開示によれば、第一陣として 23 社から約 20.3 億ドル(約 3,045 億円)を調達し、追加分を合わせると最大 30 億ドル(約 4,500 億円)に達する見通しです。調達前の企業価値は 150 億ドル(約 2 兆 2,500 億円)で、 AI 動画生成の分野では過去最大規模の資金調達となります。
出資陣には、アブダビの BlueFive Capital をはじめ、百度( Baidu )、テンセント( Tencent )、アリババ( Alibaba )といった中国テック大手が顔を揃えました。さらに中国工商銀行( ICBC )や中国建設銀行( CCB )などの国有金融機関も加わり、最終的に 38 社以上が参加する形となっています。
業績も急ピッチで伸びています。 2025 年 12 月期の売上は約 11 億元(約 1 億 6,200 万ドル、約 243 億円)でしたが、 2026 年第 1 四半期には前年同期比 300 %超の増収を達成しました。 CEO の程一笑( Cheng Yixiao )氏は、 2026 年通年での売上倍増を見込んでいます。
こうした急成長を支えているのが、 2026 年 2 月に公開した最新版「 Kling 3.0 」です。アップスケーリングに頼らず、生成の段階からネイティブで 4K ・ 60fps の映像を出力できる点が特徴で、テキスト・画像・音声を一括して扱えるマルチモーダルな仕組みも備えています。現在、世界で累計 1 億人以上が利用しており、うち 6,000 万人以上が継続的に創作活動に使っているとされます。
ビジネス環境の変化も Kling に有利に働いています。 OpenAI は採算の悪化を理由に動画生成サービス「 Sora 」を 2026 年 4 月 26 日に終了しました。 Sora は 1 日あたり約 100 万ドル(約 1 億 5,000 万円)の運用コストがかかる一方、累計収益はわずか 210 万ドル(約 3 億 1,500 万円)にとどまっており、撤退はやむを得ない判断でした。この空白を埋めるべく、 Kling は海外展開を加速させています。
Kuaishou は今後 12 ヶ月以内に香港証券取引所への上場手続きを始める予定で、調達資金はデータセンターの拡充と人材採用に充てる方針です。競合には Runway 、 Google の Veo 3 、 ByteDance の Seedance などがいますが、 Kling はコストパフォーマンスの高さを軸に差別化を図っており、プロ向け動画市場での存在感を着実に高めています。
