OpenAI は 2026 年 6 月 18 日、AI コーディングツール「Codex」に新機能「Record & Replay」を追加しました。対象は ChatGPT の Plus(月額 $20 、約 3,000 円)・Pro(月額 $200 、約 30,000 円)・Business・Enterprise・Edu の各プラン加入者で、現時点では Mac のみで利用でき、EU 圏・英国・スイスは提供対象外となっています。
この機能の特徴は、複雑な設定やプログラミングの知識がなくても、自分の作業をそのまま録画するだけで自動化が完成する点です。たとえば経費申請や定期レポートのダウンロードといった繰り返し業務を一度実演すると、Codex がその手順を学習し、次回以降は同じ作業を自動でこなしてくれます。作成した自動化の手順はチームメンバーと共有することもでき、ある社員が録画したフローを部門全体で活用するといった使い方も想定されています。録画できる時間は最大 30 分です。
従来の自動化ツールとの大きな違いは、単純なクリック操作の記録にとどまらず、作業の流れそのものを理解しようとする点にあります。日付やファイル名など毎回変わる情報にも柔軟に対応できるため、使い回しが利きます。デモでは YouTube への動画アップロード(サムネイルや字幕の処理を含む)という複数ステップの作業を学習・再現する様子が紹介されました。
業界的には、この機能は RPA(業務プロセスの自動化ソフト)と呼ばれる分野への本格参入とみられています。従来の RPA ツールは専門知識や複雑な初期設定が必要でしたが、「やり方を見せるだけ」というアプローチはその障壁を大きく下げるものです。スタンフォード大学の 2026 年 AI Index Report によると、AI エージェントのタスク成功率は前年の 12% から 66% へと大幅に向上しており、こうした機能の実用性は着実に高まっています。
ただし、導入にあたって注意すべき点もあります。OpenAI はパスワードや個人情報が映り込む画面の録画を避けるよう呼びかけており、情報漏洩への配慮が必要です。また、自動化の信頼性についても課題が残ります。エンジニアリングインフラ企業 Temporal の分析によると、個々の操作を 85% の精度でこなせるエージェントであっても、10 段階の手順全体を問題なく完了できる確率は約 20% にとどまるとされており、複雑な業務への適用には慎重な検証が求められます。
ビジネスシーンで 80%〜90% の精度が出ていれば OK とされるような業務は実際にはそう多くありません。自動化したい作業の多くは 限りなく 100% に近い精度が求められます。今回 RPA への適応の第一歩を示したことは素直に評価したいと思いますが、実際の業務に適用できるようになるためにはもう少し時間がかかりそうです。
