OpenAI 研究分野 研究支援

OpenAI の未公開モデル「Astra」、数学の未解決問題 10 件を解決

OpenAI の未公開モデル「Astra」、数学の未解決問題 10 件を解決
文字サイズ

OpenAI は 2026 年 8 月 1 日、開発中の次期モデル「Astra」が数学や計算機科学の分野で長年棚上げされてきた難問 10 件を解決したとする技術レポートを公開しました。

Astra は、複雑で時間のかかる作業に対応できるよう設計された OpenAI の次世代モデルです。研究科学者の Noam Brown 氏が LinkedIn で明らかにしたところによると、Astra は数学・量子複雑性・理論計算機科学にまたがる主要な未解決問題 10 件を解いたとのことです。いずれも 10 年以上、中には数十年にわたって進展がなかった問題ばかりです。

今回の成果の中でも特に話題を集めているのが、群論における「非ソフィック群」の構成です。1999 年に数学者の Mikhail Gromov 氏が関連する概念を提唱して以来、27 年間誰も答えを出せなかった問題です。平たく言えば、数学的な構造を持つある種の「集合」が存在することを初めて明示的に示したものです。ほかにも、フォン・ノイマン代数に関する長年の予想の反証や、1978 年以来となる高次元空間での球の詰め込み方に関する上界の更新なども含まれています。

今回の成果には、信頼性の裏付けとして、各解答に「 Lean 4 」と呼ばれる数学的証明支援ツールによる機械検証が付されています。これは証明の各ステップをコンピューターが確認できる形式で記述するものであり、公開されたリポジトリ上で未検証のステップはゼロとなっています。249 ページの技術論文と 62 ページの議論経緯レポートも同時に公開されました。

コストの低さも注目点のひとつです。OpenAI によれば、今回の 10 件の解を導き出すために費やした計算コストは約 2,000 ドル(約 30 万円)相当にとどまります。同社は「研究者が積み残してきた難問をまとめて AI に投げられるほどコストが下がった」と説明しています。また、成果そのものだけでなく、論文執筆の補助や証明の形式化など、実際の研究現場で使える補助ツールとしての有用性も強調しています。

数学者コミュニティの反応も上々です。マンチェスター大学の Thomas Bloom 氏は「これはビッグニュースだ」と述べ、フィールズ賞受賞者の Terence Tao 氏は人間と AI が役割を分担しながら進める大規模な共同研究というビジョンを示しました。

今回の成果は機械検証と数学者による非公式なレビューを経てはいますが、正式な査読付き学術誌への掲載はまだこれからの段階です。