OpenAI は 2026 年 7 月 30 日、主力 AI モデル「GPT-5.6」シリーズの価格を大幅に引き下げました。特に注目されるのは、廉価・高速処理向けモデル「Luna」の値下げで、削減幅は実に 80% に達します。
Luna の新価格は、入力トークン 100 万件あたり $0.20(約 30 円)、出力トークン 100 万件あたり $1.20(約 180 円)です。改定前はそれぞれ $1(約 150 円)・$6(約 900 円)でしたので、入出力合計の単価は $7(約 1,050 円)から $1.40(約 210 円)へと一気に圧縮されたことになります。
GPT-5.6 シリーズは最高性能の「Sol」、汎用向けの「Terra」、廉価版の「Luna」という 3 段構成です。Terra も今回 20% 値下げされ、入力が $2.50(約 375 円)から $2(約 300 円)へ、出力が $15(約 2,250 円)から $12(約 1,800 円)になりました。一方、フラッグシップの Sol は入力 $5(約 750 円)・出力 $30(約 4,500 円)のまま変わりません。
驚くのはそのスピードです。GPT-5.6 が一般公開されたのは 2026 年 7 月 9 日のこと。通常、価格の見直しはリリースから数か月後に行われますが、今回はわずか 3 週間でのことです。OpenAI によれば、AI モデル自身がシステムの内部処理を書き直すなど、開発インフラ全体の効率化が進んだ結果、このタイミングでの値下げが可能になったといいます。トークン生成の効率も 15% 以上改善されたとのことです。
競合との比較でも、新価格の競争力は明らかです。Luna の入出力合計単価 $1.40(約 210 円)は、Google の Gemini 3.5 Flash-Lite の $2.80(約 420 円)の半額ほど。また、Anthropic の Claude Sonnet 4.6 は入力 $3(約 450 円)・出力 $15(約 2,250 円)であり、改定後の Terra と比べると割高に見えるようになりました。
こうした積極的な値下げには、明確な背景があります。2026 年 7 月 7 日に CNBC が報じた調査によれば、中国製 AI モデルが主要 API プラットフォームである OpenRouter において、米国企業向けのトークン使用量の 46% を占めるに至っており、DeepSeek などのオープンソースモデルは OpenAI の主力製品と比べて 60〜90% 安い水準で提供されています。コストメリットが見えにくい場面では高価なモデルの採用を見送る企業が増えており、OpenAI はそうした現実に正面から向き合った形です。
同社は「AI モデル各世代が、より低いコストでより多くのことを実現できるよう取り組み続ける」と述べており、性能と価格の両面で競争力を維持する方針を示しています。
