アプリ分析大手の Sensor Tower は 2026 年 6 月 16 日、「State of AI 2026」レポートを公開しました。このレポートによると、ChatGPT の世界 AI アシスタント市場におけるシェアは 2026 年 3 月に初めて 50% を割り込み、5 月末時点では 46.4% まで下がっています。2024 年 12 月には 65.3%、2025 年 12 月には 52.8% だったことと比べると、18 カ月にわたってシェアの下落が続いていることになります。
ただし、ChatGPT が月間 11 億人以上のユーザーを持つ最大の AI サービスであることは変わりません。一方で、Google の Gemini はシェアを 18.2% から 27.7%(ユーザー数 6 億 6,200 万人)へと着実に伸ばしています。Android スマートフォンへの標準搭載や、Gmail・Google ドキュメントといった日常的なツールへの組み込みが、利用者の増加を後押ししていると見られます。
中でも目を引くのが、Anthropic の Claude の伸びです。2025 年 12 月に 6,020 万人だったユーザー数が、2026 年 5 月には 2 億 4,500 万人へと約 5 カ月で 4 倍近くに増加し、前年同月比では 452% 増という数字を記録しました。世界シェアも 3% から 10.3% へと大きく上昇しています。
こうした動きの背景には、いくつかの出来事が重なっています。2026 年 3 月、OpenAI が米国防総省と契約を結んだことが報じられると、アメリカ国内で ChatGPT のアンインストールが急増しました。軍との連携を断った Anthropic の Claude への乗り換えが相次いだとみられています。さらに、OpenAI が 2 月から ChatGPT に広告を試験的に導入し、5 月時点では 1 日あたりのアクティブユーザーの約 17% に広告が表示される状況になっていることも、ユーザーの離反を加速させた要因の一つと考えられます。
ビジネス面では、Claude の収益性の高さが際立っています。有料プランへの転換率は約 13% と主要 AI サービスの中で最も高く、米国における 1 ユーザーあたりの月間売上( ARPU )は 2026 年 5 月時点で 2.76 ドル(約 414 円)と、ChatGPT の 1.74 ドル(約 261 円)の約 1.5 倍に達しています。
市場全体を見ると、生成 AI アプリの利用時間は 2025 年上半期の 172 億時間から 2026 年上半期には 360 億時間超へと倍増が見込まれており、消費者支出も 42 億ドル(約 6,300 億円)超と、前年同期の 18.3 億ドル(約 2,745 億円)から大幅に拡大する見通しです。
OpenAI は 2026 年 6 月 8 日に米証券取引委員会( SEC )へ株式上場( IPO )に向けた申請書を提出しており、上場に向けた準備を本格化させています。投資家にとっては、月間 11 億ユーザーという規模の大きさと、シェアが下がり続けているという現実の両面を冷静に見極めることが求められそうです。
