IPO / M&A 関連 資金調達

SpaceX が AIコーディングツール Cursor を 600 億ドルで買収、 IPO から 4 日後に合意

SpaceX が AIコーディングツール Cursor を 600 億ドルで買収、 IPO から 4 日後に合意
文字サイズ

SpaceX は 2026 年 6 月 16 日、AIでコードを書く支援ツール「 Cursor 」を手がける Anysphere を 600 億ドル(約 9 兆円)で買収することで正式に合意しました。支払いは現金ではなく自社株式で行われ、 AI 開発ツール分野の買収としては過去最大の規模です。

SpaceX は 2026 年 6 月 11 日に Nasdaq へ上場したばかりでした。 IPO 価格は 1 株 135 ドルで、調達額は 750 億ドル(約 11 兆 2,500 億円)と史上最大の株式公開となりましたが、その 4 日後にはすでに Cursor の買収契約を締結していました。買収発表を受けて翌日の株価は 4.83 %上昇し、時価総額は一時 2.94 兆ドル(約 441 兆円)に達しています。

Cursor を開発した Anysphere は 2022 年、 MIT 在籍中の学生 4 人が立ち上げたスタートアップです。エンジニアがコードを書く・直す・確認するといった作業を AI が丸ごと支援するツールとして急速に広まりました。年間売上( ARR )は 2025 年 1 月時点では 1 億ドル(約 150 億円)でしたが、その後わずか 1 年余りで 40 億ドル(約 6,000 億円)を超えています。有料ユーザーは 100 万人を上回り、直近の企業評価額は 293 億ドル(約 4 兆 3,950 億円)でした。

SpaceX が短期間で決断した理由として注目されているのが、データの確保という狙いです。 Cursor にはエンジニアが実際に問題を解決する過程が蓄積されており、このデータは AI モデルの精度を高めるうえで極めて価値が高いとされています。他社のサービスを使い続ける形ではなく、そのデータパイプライン自体を自社で持つことが SpaceX の判断の背景にあるとみられています。 Cursor は今後、テネシー州メンフィスにある xAI のデータセンターを活用して独自モデルの開発・提供を進める予定です。

ただし課題もあります。合併契約には通常の解約料として 100 億ドル(約 1 兆 5,000 億円)が定められているほか、独占禁止法上の問題で破談となった場合には別途 40 億ドル(約 6,000 億円)の規制解約料が発生します。取引の完了は 2026 年第 3 四半期を見込んでおり、規制当局の承認を待つ段階です。