AI チップメーカーの Cerebras Systems(ティッカー: CBRS )が、2026年5月14日(木)にナスダック市場へ上場しました。 CEO・共同創業者のアンドリュー・フェルドマン氏がニューヨークのナスダック本社に出席し、上場の瞬間に立ち会いました。
IPO 価格は当初の想定レンジ( 115〜125 ドル(約1万7250〜1万8750円))を大幅に上回り、最終的に 1 株 185 ドル(約2万7750円)で設定されました。今回の株式売り出しで調達した総額は 55億5000万ドル(約8,325億円)にのぼり、 2019年の Uber 上場以来、米テック企業としては最大規模の IPO となりました。需要は売り出し株数の 20 倍超に達しており、機関投資家・個人投資家の双方から強い関心が集まりました。
初値は 385 ドル(約5万7750円)と IPO 価格から一気に倍以上の水準でスタートし、終値は 311.07 ドル(約4万6660円)で初日を終えました。時価総額は約 950億ドル(約14兆2500億円)に達し、翌5月15日(金)は利益確定の売りに押されて約 10% 下落しました。
同社は 2016年にシリコンバレーで創業したチップメーカーです。主力製品「 Wafer Scale Engine 3( WSE-3 )」は、ウェーハ 1 枚をそのままチップとして使う独自設計のプロセッサで、約 4 兆個のトランジスタと 90 万個の AI 専用コアを搭載しています。ユーザーの問いかけに対してモデルが回答を生成する「推論処理」の速度を最大の強みとしており、同社によれば NVIDIA の最新 GPU「 B200 」と比べてトランジスタ数で 19 倍、演算性能で 28 倍に相当するとしています。
業績面では、 2025年の売上高が前年比 76% 増の 5億1000万ドル(約765億円)となり、純利益も 8,800 万ドル(約132億円)を計上して黒字転換を達成しました。また、契約済みながら未計上の売上にあたる残存履行義務が 246億ドル(約3兆6900億円)と年間売上高の約 48 倍に達しており、今後の成長余地を示しています。
パートナーシップも着実に広がっています。 2026年1月には OpenAI と総額 200億ドル(約3兆円)超のクラウドサービス契約を結び、同年 3 月には Amazon Web Services( AWS )が同社チップをデータセンターへ導入すると発表しました。ただしアナリストからは、売上の過半を OpenAI 一社に依存する顧客集中リスクに加え、 NVIDIA や Groq との競争激化を懸念する声も出ています。
今回の上場は、 AI インフラを手がける企業が公開市場でも高い成長期待を織り込んだ評価を得られることを示した一例として、業界全体から注目を集めています。
