2026年 4月 20日、米テクノロジーメディアの The Information が、Google と半導体大手 Marvell Technology が AI 処理に特化したカスタムチップ 2 種の共同開発について協議していると報じました。両社は取材に対してコメントを出していませんが、報道は半導体株市場に早速影響を及ぼしました。
協議の対象となっているチップは 2 種類です。ひとつは、Google が独自開発する AI 処理チップ(TPU)と組み合わせて使うメモリ処理ユニットで、AI が大量のデータを高速に扱えるよう補助する役割を担います。AI の処理速度を左右する「データの読み書きの遅さ」という課題を解消することが期待されており、Google は約 200 万個の製造を計画、設計完了は 2027年を見込んでいます。もうひとつは、学習済みの AI モデルを実際のサービスとして動かす「推論」処理に最適化した新世代の TPU です。
一方で、この動きを既存パートナーである Broadcom の切り捨てと見るのは早計です。Broadcom は 2026年 4月、Google のカスタムチップ開発に関する長期契約を発表したばかりで、その契約は 2031年まで続きます。Google が目指しているのは特定企業への依存を減らし、Broadcom・MediaTek・Marvell がそれぞれ異なる役割を担う複数サプライヤー体制の構築です。自動車メーカーが複数の部品メーカーを使い分けながらコストと品質のバランスをとる手法に近いと言えます。
パートナー候補となる Marvell は、近年急速に事業規模を拡大しています。2026年 2月期のデータセンター向け売上高は過去最高の 61 億ドル(約 9,150 億円)に達し、全体収益は 82 億ドル(約 1 兆 2,300 億円)と前年比 42% 増を記録しました。さらに 2026年 3月末には Nvidia が 20 億ドル(約 3,000 億円)を出資するパートナーシップを締結しており、AI 半導体業界での存在感を着実に高めています。
株式市場の反応も注目を集めました。報道が伝わった 2026年 4月 20日、Marvell 株は 5.8% 上昇して 147.84 ドルで引けた一方、Broadcom 株は約 2% 下落しました。Barclays のアナリスト Tom O’Malley 氏は Marvell 株の投資判断を「オーバーウェイト(強気)」に引き上げ、目標株価も 105 ドルから 150 ドルへと大幅に修正しています。
投資家が留意すべき点もあります。協議はまだ正式な契約に至っておらず、仮に合意しても Marvell の業績への貢献は 2027年以降になる見通しです。Google の 2026年第 1 四半期決算発表は 4月 29日に予定されており、TPU の生産拡大計画やクラウド事業の収益動向とあわせて、今回の協議の位置づけが改めて語られるか注目されます。
