OpenAIが主導する大規模AIインフラ投資「Stargate Project」発表 – トランプ政権がAI安全規制を撤廃

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OpenAI が主導する「 Stargate Project (スターゲート・プロジェクト)」は、 2025 年 1 月 22 日に発表された大規模な AI インフラ投資計画です。このプロジェクトは、SoftBank 、Oracle 、MGX などの大手テクノロジー企業と共同で進められ、今後 4 年間で最大 5,000 億ドル(約 78 兆円)を米国の AI インフラ構築に投資する計画です。

Stargate プロジェクトの主な目的は、米国の AI 分野でのリーダーシップ確立、約 10 万人の雇用創出、米国の産業再活性化、国家安全保障の強化などです。このプロジェクトは、AI の開発に必要なデータセンターや電力インフラの構築を目指しており、AI の急速な進歩に対応するための重要な取り組みとなっています。構築されたデータセンターや電力インフラは主に OpenAI の大規模言語モデルのトレーニング、AGI (汎用人工知能)の開発などに使用される予定となっています。

この発表は、ドナルド・トランプ大統領の 2 期目就任直後に行われました。トランプ大統領は、ジョー・バイデン前大統領が 2023 年 10 月に発令した AI 安全性に関する大統領令を撤回しました。バイデン政権の AI 政策は、AI 開発者に安全性テスト結果の政府への提出を義務付けるなど、規制を強化するものでしたが、トランプ政権は規制緩和によるイノベーション促進を目指しています。

この政策転換に対しては、賛否両論があります。支持派は規制緩和が AI 開発を加速させ、米国の競争力を高めると主張する一方、懸念派は AI の倫理的問題や安全性リスクが軽視される可能性を指摘しています。


筆者の視点:OpenAI はこれまで Microsoft の Azure を独占的に利用してトレーニングや実行を行ってきましたが、その契約が撤廃されたようです。今回、自社データセンターを持つことで独自に大量のコンピューティングリソースを活用できる環境を整えました。Microsoft との関係は引き続き強固であると発表されていますが、OpenAI にとって自由度が大きく向上したことを意味します。

しかし、この巨額の投資に対して疑問の声も上がっています。主な理由は、直前に発表された中国の DeepSeek です。驚くほどの低コストで OpenAI の最新モデルと同等の性能を示したことで、「 AI への巨額投資は本当に必要なのか?」という根本的な問いが生じています。また、今後、競争の激化によりモデル使用料が大幅に下がれば、投資の回収が難しくなり、巨額投資の正当性を主張することはさらに難しくなるでしょう。