マイクロソフトとOpenAI、野心的なスーパーコンピューター構想

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米サンフランシスコのニュースメディア「The information」は、現地時間29日、マイクロソフトとOpenAIが、AI研究開発のための大規模なスーパーコンピューター群の建設に向けて動いていると報じました。このプロジェクトには、「Stargate」というコードネームが付けられたスーパーコンピューターも含まれており、2028年の完成を目指しているそうです。

全体の予算は最大1000億ドル(約15兆円)に上ると見込まれており、計画は5段階に分けて進められる予定で、順次利用が進んでいくものと思われます。両社は2020年から提携関係にあり、これまでにもOpenAIがマイクロソフトのクラウドサービス「Azure」上で数億ドル(数百億〜1千億円)規模のスーパーコンピューターを利用してきました。

今回のプロジェクトでは、OpenAIが開発中の次世代言語モデル「GPT-5(もしくはそれ以降)」などの高度なAIの研究・開発に必要な膨大な計算能力を供給することが目的とされています。マイクロソフトは、高額な開発費用を回収するために、将来的に他社にもスーパーコンピューターの利用を許可する可能性があるとのことです。マイクロソフトは同社のクラウド事業にそれを組み込むことで、宣伝効果も合わさってトータルで投資資金の回収ができると踏んでいるのでしょう。

またマイクロソフトは昨年の11月に独自のAIチップの開発を発表しています。今回の計画では複数のチップを使うとされていて、この投資では独自チップも組み込まれ、その実用化も兼ねるものと思われます。

先日公開されたSam Altmanのインタビューでは、AGIを含むAIの次なる進化のためには、コンピュータパワーが足りないと話していましたが、それに呼応した形での今回の発表となりました。先日のインタビューはすでに具体的な利用計画が進んでいて、それを念頭に話がされていたものと納得できます。今回の発表は両者にとってメリットの大きなものとなることが理解できます。