米国商務省は台湾の大手半導体メーカーTSMC(台湾積体電路製造)に対し、2024年11月11日から中国向けの先進的なAIチップの出荷を停止するよう命じました。この規制は、7ナノメートル以下の先進的な製造プロセスを使用するチップが対象となり、特にAIアクセラレーターやGPU向けのチップに適用されます。
今回の規制強化の直接的なきっかけは、TSMCが製造したチップがファーウェイのAIプロセッサーから発見されたことです。これは米国の輸出規制に違反している可能性が指摘されました。また、中国のチップ設計会社Sophgoへの出荷も停止されました。
米国政府の目的は、中国企業への先進的なAI技術の流出を防ぎ、ファーウェイなどの制裁対象企業への迂回供給を防止すること、そして国家安全保障上の懸念に対処することです。
先進チップは同社の総収益の67%を占める主要なプロダクトで、TSMCの収益への影響は5-8%の減少の可能性があるとされています。ただ、グローバルなAIチップ需要の強さと価格引き上げ計画により、影響が緩和される可能性があると言われています。
TSMCは台湾の企業ですが、技術的・商業的にアメリカの企業との深い関わりがあり、米国市場でも上場しています。そのため、「法令を遵守する」として、適用される輸出管理規制を含むすべての規則や規制には従うことを表明しています。
この決定はトランプ次期政権の影響はないでしょうが、今後、米中の緊張はさらに高まっていくものと思われます。