AI トークン消費量を競う「Tokenmaxxing」がシリコンバレーで広がる

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AIをどれだけ使ったかを競い合う「Tokenmaxxing(トークンマキシング)」と呼ばれる現象が、シリコンバレーを中心に広がっています。AI が処理するテキストの単位を「トークン」といいますが、その消費量を増やすこと自体が目的化し、「AI を使いこなせる人材」であることをアピールする手段になりつつあります。

この動きが広く知られるきっかけとなったのは、2026年4月6日に The Information が報じた Meta 社内での出来事です。ある社員が社内ネットワーク上に、85,000人以上の従業員の AI 利用量をランキング形式で表示する仕組みを作りました。「Claudeonomics」と名付けられたこのシステムでは、成績上位者に「Token Legend」「Session Immortal」といった称号が与えられ、デジタルバッジも獲得できる仕組みでした。30日間の総消費量は60兆トークン、推定コストは90億ドル(約1兆3,500億円)にのぼり、最も多く利用した社員は30日間で2,810億トークン、1日平均93.6億トークンを消費していました。ただし、このデータが社外に流出したことで、Meta はシステムを閉鎖しました。

こうした動きを後押ししているのは、経営トップの発言も影響しています。NVIDIA の CEO Jensen Huang は、「年収50万ドル(約7,500万円)のエンジニアであれば、年間少なくとも25万ドル(約3,750万円)相当の AI を使っていないと問題だ」と述べており、AI 利用予算として給与の最大50%を支給すべきという考えも示しています。企業の支出管理ツールを提供する Ramp の CEO Eric Glyman は、企業全体の AI 関連支出が2025年1月以降13倍に膨らんだと発表しました。

ただし、こうした量の追求には批判的な見方もあります。Meta 社内では、成果を出すためではなくランキングを上げる目的だけで AI を長時間動かし続ける社員もいたとされています。2026年2月に米英独豪の企業幹部約6,000人を対象に行った調査でも、80%以上が AI の導入効果を実感できていないと回答しています。消費量という数字が、実際の業務成果とかけ離れてしまっている現実が浮かび上がっています。

今後の焦点は、消費量の多さよりも「少ないコストで高い成果を出す」トークン効率へと移りつつあります。何をどれだけ使ったかではなく、何をどう達成したかを問う段階に、業界全体が差し掛かっています。