テキサス州の Greg Abbott 知事は 8 月 3 日、州の電力グリッド運営機関 ERCOT に対し、接続申請中のすべてのデータセンターを対象に審査・監査を実施するよう指示しました。現在、 ERCOT には 1,800 件超・ 474 GW 超の接続申請が積み上がっており、テキサス州の過去最大電力需要の 5 倍以上に相当します。そのうち約 9 割がデータセンターからの申請です。
8 月 24 日、 Abbott 知事は ABC のインタビューで「データセンター企業は地元との調整を怠り、自ら反発を招いた」と企業側を批判しました。同知事は昨年 11 月、 Google の 400 億ドル(約 6 兆円)のデータセンター投資を発表した際にはテキサスを「 AI 開発の中心地」と歓迎していただけに、方針転換として注目を集めています。
こうした規制の動きはテキサスだけではありません。ペンシルバニア州の Josh Shapiro 知事は 8 月 18 日、地元自治体の事前承認なしには環境許可申請を受け付けない旨の行政命令に署名しました。ニューヨーク州の Kathy Hochul 知事も 7 月、大規模データセンターを対象に 1 年間の建設停止を命じています。反発は党派を超えており、公的に反対を表明した政治家の 55% が共和党、 45% が民主党という構成です。
住民の反応も厳しいものがあります。 Gallup の調査では米国人の約 7 割が地元へのデータセンター建設に反対しており、 2026 年の調査では「近くに原子力発電所が建つ方がまだよい」と答えた人の割合がデータセンターを上回るという結果も出ています。
株式市場への影響も出ています。 8 月 24 日には NVDA が −2.91%、 MU が −5.83%、 AVGO が −2.63% と半導体株が揃って下落しました。 Bloomberg NEF は、今回の措置により米国のデータセンター建設計画全体の約 2 割が遅延リスクにさらされると試算しています。
ただし、逆に恩恵を受けそうな銘柄もあります。電力機器や建設インフラを手がける Eaton(ETN)、 Quanta Services(PWR)、 Vertiv(VRT)などがその代表例です。今回の規制で建設タイミングは遅れますが、データセンターへの需要そのものが消えるわけではありません。工事は先送りされるだけで受注は取り消されにくく、複数の案件が時期をずらして集中してくる分、手持ち受注残(バックログ)はむしろ厚くなります。売上の見通しが立てやすくなるという意味で、こうした企業にとっては長期間にわたり安定した収益基盤になりうるという見方です。実際、 ETN の 2026 年第 1 四半期におけるデータセンター向け電気機器の受注は前年比 240% 増を記録しています。
開発各社は Virginia 州や Georgia 州など規制が緩やかな州への移転も検討し始めており、連邦政府と州政府の間の対立は 2026 年の中間選挙に向けて続く見通しです。
