Stanford大学公表のAI Indexが示す2023年のAI動向

投稿者:

スタンフォード大学の人間中心の人工知能研究所(HAI:Human-Centered Artificial Intelligence)が発表した最新のAI Indexレポートでは、基盤モデルの台頭、性能評価ベンチマークの進化の必要性、開発資金の急騰、そしてグローバルな舞台での米国の圧倒的な存在感が浮き彫りになりました。

このレポートは、学術界と業界の幅広い専門家で構成されるAI Index Steering Committeeによって主導され、AIの急速な進歩を研究開発から技術的パフォーマンス、倫理、経済、教育、AI政策とガバナンス、多様性、世論など、多角的な視点から評価しています。

2023年のAIトレンドとして、オープンソースの基盤モデルが増加する一方で、非公開モデルのパフォーマンスが依然として優位であること、巨大テック企業が大規模モデルの開発を主導していること、米国がモデル開発と資金調達の両面でAIイノベーションを牽引していることなどが挙げられました。また、AIが多くの従来のベンチマークで人間に匹敵する性能を達成したことで、新たなベンチマークの必要性が生じています。

Image Source: Capture from Stanford Univ. HAI

さらに、全体的なAI資金が減少する中、生成AIへの投資が急増しました(「ChatGPTエフェクト」)。企業によるAIの活用は拡大しているものの、まだ普遍的ではありません。若い世代や意思決定層ほどAIが自らの仕事に与える影響を大きく予想しており、オーストラリアと英国ではAI製品への懸念が最も高く、日本では最も低いという地域差も明らかになりました。

レポートは、大手テック企業の資源と投資がAIの発展を大きく左右していること、オープンさと最先端のパフォーマンスのバランスが課題であること、生成AIへの投資急増がその可能性を示していること、米国のAI優位性がAIの恩恵の分配に疑問を投げかけていることなど、重要な示唆を与えてくれます。

AI Indexは、AIの進歩と影響について世界で最も信頼性が高く、権威ある情報源となることを目指しています。政策立案者、研究者、ジャーナリスト、経営者、一般の人々がAIについてより深く理解するための、偏りのない厳格に検証されたデータを提供し、AIの責任ある倫理的な発展を促進するための重要な役割を果たしています。