OpenAIが最近、HubSpotの創設者であるダーメッシュ・シャーから「chat.com」というドメイン名を取得したことが話題になっています。このドメインは現在、ChatGPTにリダイレクトされるようになっており、今後のOpenAIのブランド戦略の一環として位置付けられています。
シャーは以前、このドメインを1,550万ドル(約23億5,600万円)で購入していましたが、2024年3月に匿名の買い手に売却を発表。その後、11月にアルトマンがXで「Chat.com」と投稿し、OpenAIが購入者であることを公表しました。OpenAIがいくらで買ったのか、正確な金額は非公表ですが、シャーは「購入額以上で売った」と述べています。ただ、単純な現金による取引ではなく、OpenAIの株式を含む形で取引が行われたようです。シャーとサムアルトマンは以前から友人として関係があり、そうした関係性の中から取引が成立した背景があります。
この取引は、史上最大級のドメイン取引の一つとされており、OpenAIの戦略的な動きとして注目されています。シンプルで覚えやすいドメイン名により、ChatGPTへのアクセスが容易になり、AIチャット市場でのOpenAIのブランド力強化につながると考えられていて、総じて市場からは好意的に受け止められています。
このドメイン取得は、OpenAIが10月に66億ドル(約1兆円)の資金調達を完了させ、企業価値が1,570億ドル(約23兆8,640億円)となった直後に行われました。
そうした資金調達額から考えれば大したことがない額のように思えてきますが、ただのドメインにつける金額としては、とんでもない額であることに変わりはありません。そもそもドメイン自体の価値を算出することは困難で、「価値があると言えばある、ないと言えばない」ようなものでしょう。こうしたところに価値を見出し、(日本では)法外にも思える価格をつける今回のような取引はいかにもアメリカ的だな、と感じます。いいか悪いかの評価や、どうするべきかという「べき論」については横におきますが、例えば日本で同様の取引をやったら、相当な批判を浴びるでしょうし、理解もされないでしょう。