2026年 6月 1日、NVIDIA の CEO ジェンセン・ファン氏が台北で開催された GTC Taipei の基調講演に登壇しました。翌日から始まる COMPUTEX 2026( 6月 2日〜 5日)に合わせた独自イベントとして位置づけられており、約 2 時間にわたってハードウェアからソフトウェア、ロボティクスまで多岐にわたる新製品・新技術が発表されました。
ファン氏は講演の冒頭で「生成 AI が AI の有用性を証明し、推論モデルがその能力を示した。今、エージェントがそれを自律的・継続的・大規模に実現しようとしている」と述べました。 AI はもはや質問に答えるだけのツールではなく、自ら考えて行動し、ビジネスの現場で直接成果を生み出す存在へと進化しつつある、というのがファン氏の主張です。
ハードウェアの目玉は、次世代 AI チップ「Vera Rubin」のフル生産開始です。従来 2 時間かかっていたラックの組み立てが 5 分に短縮されるなど、製造工程も大幅に効率化されました。個人・企業向けには「RTX Spark」も発表されており、主要 PC メーカーから今秋発売が予定されています。クラウドに頼らずオフィスや手元の環境で AI を動かしたいという企業ニーズに応える製品として注目されています。
ロボティクス分野では、人型ロボット向けの AI モデル「NVIDIA Cosmos 3」と「Isaac GR00T リファレンスヒューマノイドロボット」が発表されました。リファレンスロボットとは、研究者やメーカーが独自のロボットを開発する際の標準的な土台として使える、いわば「共通の設計プラットフォーム」のことです。ハードウェアとソフトウェアの構成をオープンに公開することで、各社がゼロから開発する手間を省き、業界全体の開発効率を高めることを狙っています。スタンフォード大学や ETH チューリッヒなど世界有数の研究機関がこのリファレンスロボットを採用する予定であり、次世代の汎用ロボット研究の共通基盤として活用される見込みです。
ソフトウェア面では、長時間稼働するエージェント向けに設計された大規模 AI モデル「Nemotron 3 Ultra」と、複数の AI エージェントを協調動作させるフレームワーク「NemoClaw」がオープンソースで公開されました。シーメンスやケイデンスといった製造・設計分野の大手企業がすでにこれらを活用しており、従来数週間かかっていた設計検証作業を数時間にまで短縮しているといいます。
また講演では台湾の経済についても言及があり、台湾証券取引所全体の時価総額が 5 兆ドル(約 750 兆円)を突破したことが報告され、世界の AI サーバーの 90% が台湾で製造されている(主にTSMC)という事実が改めて浮き彫りになりました。台湾の株式市場は全世界でアメリカ・中国・日本・香港に次ぐ5番目の市場規模となっていますが、国民の数(約2300万人)を考えると、突出した経済規模を誇ります。
ファン氏はまた講演の最後に「 2026 年後半にまだ誰にも話していない新製品がある」と予告しており、次の発表への期待が高まっています。
