マイクロソフト社は、フランスにおいて過去41年間で最大規模となる40億ユーロ(約6700億円)の投資計画を発表しました。この投資は、クラウドおよびAIインフラの整備、AIスキルの育成、フランスのテック企業支援に重点が置かれています。2027年までに、100万人のAI人材育成と2,500社のスタートアップ支援を目指しているとのことです。
投資は主に以下の3つの分野に分けられます。
- クラウドおよびAIインフラへの投資:2025年末までに最大25,000基の最先端GPUを導入し、パリ、マルセイユ、グラン・テスト地域にデータセンターを拡張・新設します。
- AIスキル育成への投資:政府機関やパートナーと連携し、求職者、学生、中小企業、専門家向けのAIトレーニングプログラムを提供します。また、女性のデジタル技術職へのアクセス支援や、求職者向けのAI開発者育成プログラムも拡大します。
- フランスのスタートアップ支援:新たな主力プログラム「Microsoft GenAI Studio」を開始し、AIに関する専門知識、クラウドクレジット、顧客やパートナーとの連携など、包括的な支援を提供します。
フランスは、もともと自然言語処理の分野で研究が進んでおり、AI開発を国家の重点分野と位置づけています。国の資金や地元の富豪がAI関連企業を支援するなど、AI分野の発展に力を入れています。マイクロソフトの今回の発表は、マクロン大統領が主導する「Choose France」サミットの一環であり、フランスをEUのAIハブにすることを目指しているのです。
マイクロソフトは、世界中でAzureクラウドをAI対応させることやAIツールの開発・投資への支出を加速させており、ドイツやアブダビでも大規模な投資を行っています。近年のマイクロソフトの投資では、資本提携に加えて業務提携をセットにし、投資先企業には自社のクラウドの使用を条件としていることが多いため、今回のスタートアップ支援でも、フランスで拡充したクラウドの使用を条件とすることが考えられます。