アメリカや欧州でAIデータ利活用に関する規制強化が議論されている中、日本政府が打ち出した大胆な方針がアメリカで注目を集めています。驚くべき内容とされているのは、AIの学習データに関する著作権の適用を見送るという姿勢です。日本の文部科学大臣である永岡圭子氏によれば、利益目的であっても、違法なサイトから得られたデータであっても、AIのデータセットとして利用される著作権付きコンテンツは法的に保護されないとの立場を明らかにしました。
この大胆な政策は、日本がAI技術のリーダーになるという大志を抱き、その達成のために著作権を放棄するという前向きな姿勢をとった、と理解されています。
日本は世界的なAI競争に積極的に参加しようとしているように見えます。例えば、日本のIT企業Rapidusは革新的な2nmチップ技術を開発し、AIチップ市場での競争に名乗りを上げていることや、G7の中でAIシステムに関する世界共通のルール作りに積極的に参画していることなどの動きも注目をされています。
しかし、こうした日本の方針は全ての人から歓迎されるわけではありません。アニメ制作者やグラフィックアーティストなどは、AIの普及が彼らの作品の価値を薄めることを危惧しています。それに対して、日本の学界や産業界は、日本の規制の緩やかなデータ法を活用し、日本を世界のAI大国にするために政府に強く働きかけています。
言うまでもなくAIモデルの良し悪しは、利用可能な高品質な学習データの量に強く依存しています。日本の豊かなアニメコンテンツは世界的に人気があり、西洋諸国でAIの学習データとして活用されています。日本はこれと同様に、西洋の文学リソースも日本のAI学習データとして利用可能であるべきだと主張しています。
アメリカの法律も、原則的には、AI学習データについては日本と同様の立場をとっています。西洋諸国が日本の文化をAI学習データとして利用するなら、日本が同じことをするのは驚くべきことではない、とみられています。
これはグローバル規模で見ると、規制についての議論に新しい展開をもたらす可能性があります。これまでは、発展途上国が規制を無視して利益を得ようとする”rogue nation”であるという議論がされてきましたが、日本の動きはそれとは異なります。世界第三位の経済大国がAIの研究と開発を制約せず、この新技術を使って西洋諸国と直接競争する意思を示したのです。
これらの状況を考慮し、日本のAI業界が今後急激に進展する可能性が指摘されています。第三位の経済大国がAIに全力を注ぐという事実は、世界的なAI技術開発競争に新たなダイナミックスをもたらす、と考えられています。
日本国内で日本のAIの現状を論じられるときの論調とは異なるのが興味深いところですが、今後、こうした日本の動きが各国の規制の方向性についての議論を加速させ、経済、ビジネス、クリエイティブ業界全てに影響を与えることが予想されています。