前日のOpenAIによるGPT-4oの発表で注目を集めていましたが、Google I/O 2024でもAI関連の新機能が多数発表され、会場は大いに盛り上がりました。ここでは、Google I/Oで発表された主要な新機能を網羅的に紹介します。
- AI Overview(旧SGE)
GoogleはAI Overviewという新しい検索エンジンを発表しました。これはリアルタイム情報、ランキングと品質システム、新しいエージェント機能で改善された検索エンジンです。マルチステップ推論により、1つの質問で複数ステップの結果を提示できます。また、動画での検索「Ask with Video」機能も追加されました。AI Overviewはまず米国で同日ロールアウトされる予定です。 - Gemini AIモデルのアップデート
GoogleはGemini AIモデルの新バージョンとしてGemini 1.5 Proを発表しました。このモデルは1百万トークンのコンテキストウィンドウを持ち、より長い文脈での理解と推論が可能になります。さらに、低遅延とコスト効率に優れたGemini 1.5 Flashも紹介されました。 - Project Astra
GoogleはProject Astraを発表し、日常生活で役立つ「ユニバーサルAIエージェント」の開発を目指すことを明らかにしました。このプロジェクトではプロトタイプのスマートグラス上でAIが動作し、マルチモーダルな理解とリアルタイムの会話能力を示しています。これは前日のOpenAIの発表と似たような方向性の機能となります。この機能は今年中にロールアウトすると発表されました。 - VeoとImagen 3
Googleは新しいAIビデオモデルのVeoを発表しました。Veoはテキストプロンプトから1080pのビデオを生成することができます。クオリティは今後用検証ですが、OpenAIのSoraと同様のサービスとなります。また、AI画像生成ツールのImagen 3も紹介され、さまざまなスタイルでの画像生成と編集が可能になります。特に他社のAI画像ツールが苦戦している画像内の文字を正確に再現できる点で、OpenAIのDALL-E 3やIdeogramなどと同等の性能があるように見えます。 - Google WorkspaceのGemini統合
Google Workspaceアプリ(Gmail、Docs、Drive、Slides、Sheets)のサイドパネルがGemini 1.5 Proにアップグレードされ、より長いコンテキストウィンドウと高度な推論能力を活用できるようになります。 - Notebook LMの新機能
Notebook LMに新機能が追加されました。ドキュメントや音声メモを入力すると、ポッドキャストのように聞くことができます。さらに、途中で質問をすることで対話形式で情報を得ることも可能です。 - 新しいTPUとCPUの発表
Googleは第6世代のTPUであるTrilliumと、カスタムArmベースのCPUであるAxionプロセッサを発表しました。また、Nvidiaとのパートナーシップを通じて、2025年初頭にNvidia Blackwell GPUが利用可能になることも明らかにされました。 - Android 15の新機能
Android 15には多くの新機能が導入されます。プライバシーサンドボックスの更新、部分的な画面共有、システムレベルのアプリアーカイブ、改善された衛星接続、アプリ内カメラコントロールの追加などが含まれます。 - その他の新機能
Googleフォトには”Ask Photos with Gemini”という新機能が追加され、画像内の情報検索や特定のテーマに沿った自動アルバム作成などが可能になります。また、”Music AI Sandbox”ではプロンプトから音楽ループを作成できるAI音楽生成ツールが提供されます。さらに、画期的なスーパーコンピュータのアーキテクチャ”AI Hypercomputer”や、Googleチャットでチームの一員として会話に参加するAI “AI Teammate”、ユーザーの発話パターンに適応して自然な会話をするAI “Gemini Live”なども発表されました。
前日のOpenAIの「見せ方」の上手さに比べると、Googleの発表はライブデモを重視するあまり、正直少々見劣りしていました。前回の発表で、Googleはデモ映像の編集が過剰だと批判されました。実際の性能以上のことを見せようとしたことが問題視されたのです。今回は、そうした批判を意識してライブデモを重視したのかもしれませんが、結果としてプレゼンテーションのインパクトが薄れてしまったように感じられました。
とはいえ、Google I/O 2024で発表された新機能の数々は、GoogleがAI分野をリードし続ける意欲と技術力の高さを示すものでした。Googleは「責任あるAI開発」にも注力しており、AI技術を誰もが安心して利用できる世界の実現を目指しています。今後のGoogleのAIサービスの進化から目が離せません。