Google DeepMindが発表した「Boundless Socratic Learning (BSL)」は、人工知能を開発するための新しい考え方です。BSLは、AIが自分で自分を成長させるための画期的な方法で、人間が教えなくても、AIが自分で学習し、進化していくことができます。
BSLでは、「言語ゲーム」という方法を使います。これは、AIが言葉を使って、自分で学習する環境を作り、自分のアウトプットを評価し、改善していくというものです。具体的には、AIは、
- 入力と出力から学習する
- 自分でゲームを選び、実行する
- 自分のコードを修正する
という3つを順番に行っていきます。
BSLのすごいところは、AIが自分でデータを生成し、タスクを設計し、パフォーマンスを評価するため、人間がデータを用意したり、評価したりする必要がないという点です。さらに、AIは自分の学習成果を自分で評価し、改善を続けることができます。
この方法によって、AIは最初の知識を超えて能力を拡張できるようになり、人間のように自己学習をしながら、様々なことができるようになる、人工汎用知能(AGI)の実現に近づく可能性があります。
ただし、BSLには課題もあります。例えば、AIが自分の学習成果を正しく評価できるか、AIが学習するデータに偏りがないかといった課題から、そもそも、この考え方を実際に実行するためには膨大な計算能力が必要になる、といった課題が指摘されています。
BSLは、AIが人間の助けなしに自分で成長していく未来に至るまでの最初の一歩を示した、と言えるでしょう。AlphaGOの時からDeepmindは繰り返し自己学習していくAIモデルの開発が強みとなっていますが、今回もまたそうした流れの中で新たな可能性を提示してくれました。