フランスのAIスタートアップ「H」、AGIを目指し2億2000万ドルの資金調達を完了

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フランスのAIスタートアップ「H」(旧Holistic AI)が、次世代の強力なAIツール開発を目指し、著名な億万長者やベンチャーキャピタルから2億2000万ドル(約345億円)の初期資金を調達したと報じられています。今回の調達では、約40%を株式、約60%を転換社債として行われています。調達した資金は主に人材確保とコンピューティングパワーの調達のために使用するとされています。

Hは、Google DeepMind出身のフランス人科学者チームによってわずか数ヶ月前に設立されました。CEOのCharles Kantor氏は、DeepMindやOpenAIと同様に、「汎用人工知能(AGI)」の実現を目指していると述べています。同社は、推論、計画、複雑なタスクの実行が可能なAIモデルの開発に取り組んでおり、特に「マルチエージェントAI」と呼ばれる、環境や互いに相互作用して学習するAIシステムの開発に強みを持っています。

この技術は主にビデオゲームで使用されてきましたが、Hはこれを言語モデルを超えて、計画や記憶が可能なAIに発展させることを目指しています。投資家向けの説明会では、同社がOpenAIのGPTやGoogleのGeminiのような大規模言語モデルを「超える」ビジョンを掲げ、複数の分野や収益源をターゲットにする計画を明らかにしました。

今回の資金調達ラウンドには、Bernard Arnault氏、Eric Schmidt氏、Xavier Niel氏、Yuri Milner氏などの億万長者や、Accel Partners、Amazon、Samsung、UiPathなどの企業が参加しました。UiPathは、RPA(Robotic Process Automation)ソフトウェアを販売しており、Hとは商用化時の販売ルートなどに関する提携を進める予定です。

フランスは今回のブーム以前からAI分野の研究が盛んで注目を集めており、米国からの投資も活発に行われています。同国はMistralなどの著名なAIスタートアップを輩出しており、Hもその流れに乗ろうとしています。同社はすでに25名のAIエンジニアと科学者を採用しており、ビジネスおよび消費者向けにAIモデルを構築していく予定です。

AIスタートアップの資金調達においては、今までは、ある程度製品や収益に目処がついている会社に対して大きな金額の投資が行われてきました。しかし、今回の事例では、事業アイディアと創業者のバックグラウンドのみで投資が決定されています。ベンチャーキャピタルなどの投資家が将来有望な投資機会を求めて先物買いをする傾向が強まっていることがうかがわれ、潮目が変わってきたことを実感します。