75%の知識労働者がAIを利用、職場でのAI活用が進む

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マイクロソフトとLinkedInが共同で発表した「Work Trend Index 年次レポート」によると、アメリカでAIは職場に急速に浸透しており、知識労働者の75%が何らかの形でAIを利用していることが明らかになりました。この割合は過去6ヶ月で約2倍に増加しており、2024年は「職場でのAI活用が本格化する年」と位置づけられています。

興味深いことに、AIの導入は企業主導ではなく、従業員個人の判断で進められているケースが多いようです。調査によると、AIユーザーの78%が自分でAIツールを職場に持ち込んで使用しており、そのうち52%がAIの利用を公にすることに抵抗を感じていることが明らかになりました。この「BYOAI(Bring Your Own AI)」の蔓延は、企業データのセキュリティリスクを高める可能性があると指摘されています。

一方、リーダーたちはAIの必要性を認識しているものの、具体的な導入計画やビジョンが不足しているケースが多いようです。60%のリーダーがAI導入に関する明確なビジョンを持っていないと回答しています。しかし、AIスキルを備えた人材に対する需要は高まっており、66%のリーダーがAIスキルを全く持っていない人材を雇用しないと答えています。

また、AIの活用に積極的な一部のユーザー(AIパワーユーザー)は、AIを仕事に効果的に取り入れることで、大幅な時間削減と生産性の向上を達成しています。これらのユーザーは、経営層からの支援、企業のニーズに合わせて調整されたAIモデルの使用、変化に柔軟に対応できる企業文化など、様々なサポートを受けていると報告されています。

マイクロソフトのCopilot研究によると、AIは電子メールや会議の時間を減らし、より価値の高い仕事に集中できる時間を増やす可能性があります。AIは仕事のやり方や労働市場に大きな変化をもたらすと予想され、リーダーや従業員はこの変化に備えることが重要だと指摘されています。

レポートでは、リーダーに対して、特定のビジネス課題にAIを適用すること、経営層から現場従業員まで組織全体を巻き込むこと、トレーニングとスキル開発を優先することなどが提言されています。

AIの導入が本格化する中、従業員主導のAI活用が進んでいるというレポートの結果は、日本企業にとっても示唆に富むものと言えるでしょう。AIがもたらす変化に適応し、競争力を維持するためには、組織全体でAIに対する理解を深め、積極的に活用していく姿勢が求められます。