TikTok を運営する ByteDance は 2026 年 7 月 9 日、AI 画像生成・編集ツール「Seedream 5.0 Pro」の正式提供を開始しました。広告制作やブランドデザインなど、商業分野での実務利用を想定したモデルです。
Seedream 5.0 Pro の大きな特徴は、指示された画像を単純に生成するだけでなく、ユーザーの意図を読み取り、構成やレイアウトまで考えたうえで出力できる点にあります。複雑なデータや長い文章から、情報を整理したインフォグラフィックやポスターを自動で作成できるため、デザイナーやマーケターの作業時間を大幅に短縮できます。
画像編集機能も充実しています。画像の一部だけを選択して修正したり、ラフスケッチや色見本をもとに完成形へ仕上げたりするなど、細かな調整が可能です。画像全体を作り直さずに特定の部分だけを変更できるため、広告バナーや商品画像を繰り返し微調整する作業にも適しています。
さらに、完成した 1 枚の画像を、テキスト、背景、被写体など、10 以上の独立したレイヤーに自動で分解する機能も備えています。分解した後は、それぞれの要素を自由に移動したり、サイズを変更したりできます。被写体を動かした際に新たに見える背景部分についても、AI が自動的に補完します。
グローバルに事業を展開する企業にとって特に実用的なのが、多言語のテキスト生成機能です。日本語、韓国語、アラビア語を含む 14 言語に対応しており、非ラテン文字特有の文字の並び方や読み方向、組版のルールも処理できます。そのため、国や地域ごとに異なる広告クリエイティブを、ひとつのツールで制作できます。
API の料金は、画像 1 枚あたり 0.0675 ドル(約 10 円)から 0.135 ドル(約 20 円)程度です。OpenAI の「GPT Image 2」と比較すると、同等品質の設定では 2 分の 1から 5 分の 1程度の価格で利用できるとされています。一般ユーザーは、ByteDance のクリエイティブアプリ「Dreamina」から利用できます。
純粋な画質だけを比べると、Seedream 5.0 Pro が GPT Image 2 を大きく上回っているわけではありません。しかし、豊富な編集機能、多言語への対応、導入しやすい価格という 3 つの強みを兼ね備えており、世界各地で制作を行う企業やクリエイティブチームにとって、実務上の優位性は小さくありません。
AI 画像生成をめぐる競争は、単に美しい画像を作れるかどうかだけでなく、編集のしやすさや制作コスト、グローバル対応を含めた総合力を競う段階に入りつつあります。今後は OpenAI、Google、ByteDance の 3 社を中心に、競争がさらに激しくなっていきそうです。
