AI 開発企業の Anthropic が、株式上場( IPO )に向けた準備を本格化させています。2026年10月15日(水)、同社はサンフランシスコ本社で終日にわたる投資家向け説明会を開催し、高い成長率やコスト改善の実績、「安全を最優先する」という経営姿勢を訴えました。上場は2026年11月を目指しているとされています。
足元の業績は好調です。7〜9月期( Q3 )の売上高は前四半期比 45 %増の 168 億ドル(約 2 兆 5,200 億円)に達したと、説明会に参加した投資家が明らかにしています。 Q1 の 47 億ドル(約 7,050 億円)、 Q2 の 116 億ドル(約 1 兆 7,400 億円)と加速度的に伸びており、 2026 年 1 〜 9 月の累計は約 330 億ドル(約 4 兆 9,500 億円)に達します。ただし、これらの数値は同社が公式に発表したものではなく、 Reuters の取材にも回答していないため、確定情報ではない点に留意が必要です。
損益面では、先行投資の重さも目立ちます。 2025 年の年間売上高は約 46 億ドル(約 6,900 億円)と前年比 12 倍に拡大した一方、純損失は 420 億ドル(約 6 兆 3,000 億円)近くに上っています。ただし損失の大部分にあたる約 340 億ドル(約 5 兆 1,000 億円)は、実際の現金流出を伴わない評価損など会計上の調整によるものです。また、 AI サービスの基盤となるコンピューティング関連の設備投資は 2025 年だけで 73 億ドル(約 1 兆 950 億円)に達しており、規模の拡大に合わせて投資が急増していることがわかります。
今回の IPO では、評価額 2 兆ドル(約 300 兆円)超を目指しており、調達額は約 1,000 億ドル(約 15 兆円)規模が見込まれています。主幹事は Morgan Stanley 、 Goldman Sachs 、 JPMorgan の 3 行が務めます。また、 AI 向け半導体で圧倒的なシェアを持つ Nvidia が、上場時に最大 100 億ドル(約 1 兆 5,000 億円)を投じる筆頭出資者(アンカー投資家)となる方向で調整が進んでいるとも報じられています。 Anthropic の急成長を支えるチップの供給元でもある Nvidia が出資することで、両社の関係がさらに深まる可能性があります。
手続き面では、 2026年6月1日 に SEC へ機密扱いの上場申請書( S-1 草案)を提出済みで、上場先は Nasdaq が予定されています。目論見書では全 261 ページのうち 80 ページをリスク要因の説明に割いており、 AI がもたらす社会的リスクについても踏み込んだ記載があります。ライバルの OpenAI より先に上場する見通しで、 AI 開発企業の成長性に対する市場の評価を占う試金石としても注目されています。
