IPO / M&A 関連 半導体・データセンター

AIデータセンター投資、IPO 延期相次ぐ −− 採算性のプレッシャーが強まる

AIデータセンター投資、IPO 延期相次ぐ −− 採算性のプレッシャーが強まる
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2026年10月、AIデータセンター関連企業の株式上場が相次いで延期・撤回されています。わずか1か月足らずの間に、ブラックストーン傘下の AirTrunk がシンガポールでの 15 億ドル(約 2,250 億円)の上場を先送りし、 Nvidia 傘下の Firmus が2026年10月9日にオーストラリア証券取引所への上場申請を撤回、さらに SoftBank 傘下の SB Energy もニューヨークでの上場を見送りました。3社が合わせて調達しようとしていた資金は 120 億ドル(約 1 兆 8,000 億円)規模に達します。

各社の財務内容を見ると、市場が慎重になる理由がよくわかります。 Firmus はデータセンターが完成した時点で約 300 億ドル(約 4 兆 5,000 億円)の負債を抱える見込みです。2028年に見込む営業利益 50 億ドル(約 7,500 億円)の約 6 倍という水準で、返済能力への疑問は拭えません。 SB Energy の状況はさらに際立っています。OpenAI との契約などで 4,390 億ドル(約 65 兆 8,500 億円)もの受注残を抱えながら、実際の収益は 1 億 3,900 万ドル(約 208 億円)に過ぎず、現時点で稼働しているデータセンターは一つもありません。

資金調達の手段ごとに状況は異なります。アジアでは銀行融資や社債を使ったデータセンター関連の取引が活発で、 M&A だけで今年これまでに 213 億ドル(約 3 兆 1,950 億円)、融資・社債の残高は 223 億ドル(約 3 兆 3,450 億円)に上ります。その一方で、株式による調達は前年同期比 4.6%減の 54 億ドル(約 8,100 億円)と振るいません。銀行もすでに融資が集中しすぎているとして、新規案件の選別を強めています。

米国市場でも警戒感が高まっています。 AI 向けサーバーのレンタル事業を手がける CoreWeave が発行した社債の利回りは 15.78%に上昇し、債務不履行リスクを示す指標も前年比で 2 倍以上に拡大しました。同社の総負債は約 500 億ドル(約 7 兆 5,000 億円)に達しており、いまだ一度も黒字を出したことがありません。

投資家の目線は変わりつつあります。「将来の契約見込み」よりも「確定済みの受注」「長期の賃貸契約」「電力の確保状況」「実際の返済余力」が問われるようになっています。 AI データセンターへの需要自体は依然として強いものの、実績のない大型開発案件に対して公開市場は厳しい評価を下しています。高金利が続く限り、この傾向はしばらく変わらないでしょう。